一日の脂肪燃焼を最大化させるためにはいつ運動すべき?

一日の脂肪燃焼を最大化させるためにはいつ運動すべき?

 

先日の記事で食事パターンと脂肪の燃焼効果についてまとめました。

一方で、運動のタイミングも脂肪の燃焼に大きく影響を与えることが分かっていて、特に朝食前(ファスティング中)の運動は脂肪の燃焼が多くなることが分かっています。

しかし運動中の脂肪燃焼量だけでなく、一日を通しての脂肪燃焼量を比較した実験というのはこれまでありませんでした。

 

今回は、運動のタイミングと一日を通しての脂肪の燃焼効果について調べた報告を紹介したいと思います。

論文は、現天理大学講師の岩山海渡氏が筑波大学大学院時代にまとめた博士論文。原著論文はこちらからダウンロードできます。

非常に興味深いデータがいっぱい並んでいますが、主要なデータだけ拝借させていただきます。

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一日を通して脂肪燃焼が最大化するのはいつ運動したとき?

健康的な男性10人に対し、朝食前、昼食後、夕食後に有酸素運動をさせた場合と全く運動しない場合の一日の脂肪酸化量がどのように変化するのか調べました。(時系列的には次に紹介する実験と前後します)

被験者の平均年齢は23.8歳、体脂肪率の平均は15.9%。

被験者は毎日6時に起床、8時に朝食、12時に昼食、18時に夕食、23時に就寝という生活をさせたとのこと。

朝食前の運動は6:30から7:30、昼食後の運動は14:30から15:30、夕食後の運動は20:30から21:30に行われ、それぞれ3日間行い一週間以上空けて実施されました。

提供された食事の三大栄養素の比率は、たんぱく質・脂質・炭水化物の比率が 15:25:60。いわゆる一般的なPFCですね。

摂取エネルギー量は、消費エネルギーと同等になるように設定したとのこと。つまりエネルギー収支はゼロ

それぞれの運動のタイミングによる運動中のエネルギー消費量は下のような結果に。

運動中の消費エネルギー(左)は全て同等ですが、朝食前に運動した場合は炭水化物の酸化量(中)よりも脂肪酸化量(右)が大きくなっていることが分かります。

興味深いのは、一日の脂肪酸化量を比較した次の結果。

この結果には「運動なし」の結果も含まれていますが、まず運動をした場合の結果から見てみます。

一日の消費エネルギーはすべて同等であるにも関わらず、朝食前運動のグループのみが脂肪酸化量が多くなっていることが分かります。つまり朝食前の運動は、運動中だけでなく一日を通しても脂肪酸化量が他のタイミングよりも大きくなることが示されています。

さらに興味深いのは、昼食後運動と夕食後運動は、運動なしの場合と脂肪酸化量に差が見られないこと。

エネルギー消費のほとんどが炭水化物酸化量の増加によって賄われており、脂肪の酸化には全く影響がなかったことになります。

一日の仕事が終わって食事をとってから一生懸命ジムで運動しても、何も運動してない人と脂肪燃焼量には全く違いがないと言われるとなかなかショッキングな事実…笑

著者は、一晩絶食を経た朝食前に運動することによって一時的にグリコーゲン量を減少させることが、24 時間の脂質酸化量を増大させたことは十分に考えられる、と考察してます。

この考察は間欠的ファスティングの理論とも同様ですね。

絶食の効果というのなら夕食前の運動ならどうか?

睡眠中のファスティング(絶食)によってグリコーゲンが減少し、朝食前の運動によって脂肪の酸化が促進したと考えられるのであれば比較的絶食時間が長くなる夕食前の運動でも同じ効果が得られるのではないか?

著者はこの実験も行っています。

運動を朝食前(6:30-8:10)、夕食前(16:00-17:40)、そして分割運動(6:30-7:20、16:00-16:50)に設定し、24時間でのエネルギー収支が等しくなるように設定しました。つまり、摂取エネルギーも消費エネルギーも全て同等。

その結果がこちら。

運動中の消費エネルギーはすべて同じですが、やはり朝食前の運動のみが脂肪の酸化量が増えています

24時間のエネルギー収支を見てもやはり同じ傾向。

夕食前という一日の中で比較的絶食時間の長いタイミングであっても、朝食前の運動には敵わないことが示されています。

以下、著者のまとめです。

一晩絶食状態である朝食前の運動は一時的なエネルギー不足状態を招くことが脂質酸化量を増大させていることが示唆され、一時的なエネルギー不足の大きさと 24 時間の脂質酸化量には有意な負の相関関係があることが明らかになった。

まとめ

有酸素運動によって脂肪燃焼を促進させるためには、朝食前の運動が最も効果的であることは以前から知られていましたが、その効果は一日中続くという新しい知見が報告されています。

またエネルギー収支がゼロであっても、運動するタイミングによっては脂肪燃焼を促進させることが可能であることを示唆しており、従来のエネルギー収支論に一石を投じた論文だと言えます。

今回の結果のように、朝食前の運動が一日を通して脂肪酸化量を増やしたのは、貯蔵グリコーゲンの減少や脂質代謝を抑制するインスリンの低下だけでなく、血中遊離脂肪酸などグリコーゲン以外の因子も影響していると著者は考察しています。

懸念事項としては、一連の研究の参加者は普段から持久系のトレーニングを行っている20代前半の男性というかなり限られた人たちに対して行われたということ。一般の人たちや肥満を持つ人たちに対してどれくらい効果が見出されるのかは不明です。(著者もこの点は今後の研究課題としています)

実際に朝食前と朝食後の運動では、体重と体脂肪率は同様に減少したという報告もあり[]、いずれの研究も日常生活での調査ではないので本当に朝食前の運動が実生活においても効果的であるかどうかは、まだまだ研究が必要であると纏めています。

とはいえ、仕事が終わって夜遅い時間にジムに通ったりして運動する時間を作っている人が多いなかで、その時間の運動が実は脂肪燃焼にはほとんど効果がない(運動しない人と同じレベル)という可能性がないとは言えません。

もし上手く効果を出せてないのであれば、運動の時間を見直してみるのも良いかもしれませんね。

あるいは夜にジムに行く日は、昼食を抜くというのも一つの方法になりそうですね。

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Reference

[1]https://www.u-cursos.cl/medicina/2015/2/DPPAEF/1/foro/r/shimada2013_efecots_de_ejercicio_en_ayunas_y_post_prandial_en_la_oxidacion_de_grasas_a_24_hrs.pdf
[2]https://www.cambridge.org/core/services/aop-cambridge-core/content/view/0EA2328A0FF91703C95FD39A38716811/S0007114516003160a.pdf/effects_of_aerobic_exercise_performed_in_fasted_v_fed_state_on_fat_and_carbohydrate_metabolism_in_adults_a_systematic_review_and_metaanalysis.pdf
[3]https://pdfs.semanticscholar.org/642b/45f1292f5fdddb6e73a5509b104970066cd3.pdf
[4]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4703705/
[5]https://jissn.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12970-014-0054-7

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