人はいつから糖質中毒になってしまうのか?

人はいつから糖質中毒になってしまうのか?

いつから糖質依存になるのか

昨今の糖質制限の流行により、糖質依存、糖質中毒、砂糖中毒、甘い物中毒、果糖中毒、炭水化物中毒、糖質過多…なんて言葉が頻繁に使われるようになりましたね。このまんまタイトルになった本もたくさん出てるようです。

もはや糖質を食べることに少なからずの罪悪感を持たなければならないほどまでになっているように思います。

「まずは長年の糖質依存をやめることが大事」なんて教祖様のように食事指導をしている医師や治療家もいるようですが、ちょっと待ってもう一度よく考えてみませんか?

そもそも人はいつから糖質を好むようになってしまうのでしょうか?

あるいは糖質制限の指導者たちが言う通り、糖質や甘い物を摂らずに生きていたら本当に甘いものを好まない体質になるのでしょうか?

この疑問のヒントになりそうな論文をいくつか紹介したいと思います。

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生まれてすぐの赤ちゃんに甘味を与えるとどうなるのか?

生まれてから一度も甘いものを摂取したことのない人。

そんな完全無欠な人がいるとするなら、それは生まれて間もない新生児かもしれません。

実はこのタイトルのまんまの実験を行った人たちがいます[1]。イスラエルのヘブライ大学のJudith R.Ganchrow博士のグループです。

彼らは23人の新生児に、蒸留水(参照)、砂糖水(甘味)、尿素水(酸味)、キニーネ(苦味)をそれぞれ経口で与え、子ども達の表情(口や目の変化)や応答(手や体の動きなど)をビデオテープに記録するという、生後間もない子供たちにいきなり人生最大の試練を与える実験を行いました。

論文にはその時の様子がたくさんの写真で紹介されています。

上の赤ちゃんの例では、Aは何も与えていないとき、BCDは砂糖水をあたえたとき、EFGはキニーネ(苦味)をあたえた時の表情。

砂糖水ではCからDにかけて非常に穏やかな表情になっていますが、苦味ではFGにかけてかなり苦悶の表情に変化しています。

こちらの写真は左から、休憩中、蒸留水、甘味、酸味、苦味を与えられた時の3人の子供たちの様子。

酸味や苦味では3人とも嫌がっている様子が見られるのに対し、甘味ではやはり穏やかな表情を浮かべています。

この研究は、生まれて間もない新生児であっても甘味を好む傾向があることを示しました。

つまり、まだ何も食べたことのないような生まれてすぐの段階からすでに人は糖質中毒であり、果糖中毒であり、砂糖中毒であるかもしれないことが示唆されています。

味覚の嗜好は胎児の段階から形成される

以前、こちらの記事で子供の食の嗜好の形成には、遺伝的要因環境的要因があるということを紹介しました。

このうち遺伝的要因は胎児がお腹の中に居るときに母親が食べたものに強く影響されることが分かっています。とういうのは、胎児はお腹の中で大量の羊水を飲み込むからです。羊水には母親の食事によって得られたグルコースやアミノ酸など様々な栄養素が含まれて、それもまた子ども達の成長を助けています。[2]

と考えると、母親が身籠ってから甘いものをたくさん食べていると、お腹の中で甘い物中毒者が形成されてしまっている可能性も否定できなくなります。その結果、甘い物を与えた時にだけ喜びの表情を示した…とすれば先の実験はただの糖質中毒者に対する実験で至極当然の結果ということにもなります。

最初に「完全無欠人間」として認定された新生児は、実はすでに甘いもに曝露され続けていた「甘い物中毒者」であった可能性が出てきます。

じゃあ胎児ならどうなのか?

じゃあじゃあ生まれてくる前の胎児ならどうか?これなら母親の食の嗜好の影響を受けていない可能性が高いと考えられます。

1937年のかなり昔の論文を引っ張り出してみます。[3]

DeSnooらは妊娠中の女性のお腹に甘味を注射して胎児の反応を見るという観察を行いました。

その結果どうなったかというと、羊水に甘味を注射すると胎児の嚥下が促進することを発見しています。つまり羊水が甘くなると胎児はごくごくと羊水を飲み始めたということです。

これとは逆に、苦味を注射すると胎児の羊水の嚥下が低下することをLileyらが観察しています。[4]

舌の味蕾や嗅覚ニューロンが完全に発達する25週前後からこのような傾向は様々な研究で観察されており[5, 6]、私達人間は生まれながらにして甘味に対しては快楽の反応、苦味に対しては負の反応を示すと解釈されています。

この結果をどう捉えるか?

なぜ糖質だけを区別する能力を生命の誕生の瞬間から備えているのか?

「人間は糖質が必要だから」という答えが見えてきませんかね?

カラミ的まとめ

甘い物中毒というのは人間が生まれながら持っている本能のようなものと見做すことができそうです。

特に子供にとっての甘い物(糖質)は、成長を促進するエネルギー源として重要な役割があるので、味覚が完成されるのと同時にこの本能が形成される必要があったのだとも言えます。

一般的には子供時代に好んで食べた甘い物(お菓子)は大人になるにつれてあまり欲さないようになります。成長期が終われば、成長に使われてきた分の糖質が必要なくなるので欲さなくなるのだと言われています。

しかし一部の人たちは子供時代のまま、あるいはそれ以上に甘いものを欲するようになります。

それは子供の頃から糖質漬けの生活を送ってきたことが原因なのではなく、インスリン抵抗性や耐糖能の低下などの糖質の取り込みが弱くなっていることが原因だと思います。糖質とは別の原因です。

決して糖質制限で解決する問題ではない。また、糖質の取り込みさえスムーズにできれば必要以上の糖質を欲っさなくなる。

これこそが本当の意味での糖質中毒からの脱却であり、決して意志力の問題ではないことを強調しておきたいと思います。

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