コーヒーを飲むとどんな疾患予防が期待できるのか?- 最近の調査のまとめ

コーヒーを飲むとどんな疾患予防が期待できるのか?- 最近の調査のまとめ

コーヒーはなぜ身体に良いのか

身体に良いから飲んだ方が良いのか、カフェインが含まれるからできるだけ避けた方が良いのか。

専門家の間でも大きく意見の分かれるコーヒーですが、最近報告された論文からコーヒーとあらゆる疾患に関連する論文をまとめました。

結論から言いえば、コーヒーにはカフェインの悪影響をひっくり返すくらい様々な健康メリットがあると言えそうです。

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1.全死亡率の低下

2017年にAnnals of Internal Medicineに報告された3,195,484人を対象とした多民族コホート研究によると、コーヒーを普段飲まない人と比べて、一日一杯飲む人は死亡率が12%低下、2杯以上飲む人は死亡率が18%低下したとのこと。[1]

2012年にThe New England Journal of Medicineに報告された論文においても、コーヒーを全く飲まない人と比較して1日1杯飲む男性は6%、2-3杯飲む人は10%、4-5杯飲む人は12%、6杯以上飲む人は10%、死亡率が低下。女性においてもそれぞれ、5%(1日1杯)、13%(2-3杯)、16%(4-5杯)、15%(6杯以上)死亡率が低下したそう。[2]

人種や性別にかかわらずコーヒーの日常的な消費は死亡率を下げる傾向があることが広く支持されています。

死亡率に全く関連しないどころかガンや死亡リスクを高める可能性もあるビタミンミネラルサプリを飲むくらいなら、コーヒーを飲む方が良いかも?笑

2.脳梗塞のリスク低下

2011年にスウェーデンのカロリンスカ研究所がAmerican Journal of Epidemiologyに報告したメタアナリシスによると、コーヒーの消費量は脳梗塞の罹患率と相関がないだけでなく、逆に脳梗塞のリスクを低下させる可能性があるという結果を報告しています。[3]

1日2杯のコーヒーでは14%、1日3-4杯で17%、 1日6杯で13%、1日8杯で7%、リスクが低下するとのこと。

筆者らは中程度のコーヒー消費量は脳卒中のリスクと逆相関がある可能性があると纏めています。

特に女性においてはさらに相関が強く、1日2〜3杯、1日3〜4杯、1日5杯以上のコーヒーの消費習慣がある人は、全く飲まない人に比べて脳卒中のリスクは22%、25%および23%低下するとのこと。[4]

日本人を対象にしたコホート研究においてもやはり同様の傾向が見られており、筆者らはコーヒーの消費量が多いほど脳梗塞のリスクが低下すると報告しています。[5]

3.糖尿病のリスク低下

多くの研究で、コーヒーの消費は糖尿病のリスク低下が示されています。

2009年にJAMAに報告されたメタアナリシスによると、1日に飲むコーヒーの量が1杯増えるごとに、糖尿病のリスクが7%低下するとのこと。[6]

2014年にDiabetologiaに報告された1,663,319人を対象にした4年間の大規模なコホート研究によると、1日1杯以上のコーヒーを飲む人は飲まない人に比べて糖尿病の罹患リスクが11%低下し、逆にコーヒーの量を減らした人は糖尿病の罹患リスクが17%上昇したとのこと。[7] 飲む量を減らしたらリスクが上昇したという結果は興味深いですね。

このような相関関係を持つ理由の一つに、コーヒーが持つ抗炎症作用が機能しているのではないかという報告もあります。[8]

4.ガンのリスク低下

いくつかのガンのリスク低下がコーヒーの消費量と関連しています。

子宮体がん(1日4杯以上)[9]、前立腺がん(1日6杯)[10]、口腔咽頭がん(1日4杯)[11,12]、乳がん(1日5杯)[13,14]、基底細胞がん(1日3杯以上)[15,16]、大腸がん(1日2.5杯以上)[17]など。

いずれも相関関係がみられるのはかなりの量を消費している場合のようです。ちょっとキツい?笑

また、デカフェでも同様の関係があったとする研究もあります。[10]

5.神経変性疾患のリスク低下

神経変性疾患とは、アルツハイマー病パーキンソン病筋萎縮性側索硬化症脊髄小脳変性症などの疾患を指します。

2012年にJournal of Alzheimer’s Diseaseで公開された65-88歳の124人を対象にしたコホート研究によると、1日3-5杯のコーヒーの消費が認知症の発症リスクおよび症状の遅延と関連していることを報告しています。[18]

2014年のnature neuroscienceの報告によれば、カフェインがヒトの長期記憶の統合を強化する働きがあると報告していて[19]、さらに2000年のJAMAの論文では、1日3杯以上のコーヒーを飲むことでパーキンソン病と関連していると言われるレビー小体の発達を防ぐことができると報告しています。[20]

しかしパーキンソン病の患者がカフェインを飲むべきか避けるべきかについては、まだ議論の余地があるとのこと。

6.うつ病のリスク低下

コーヒーを飲むことによって、精神的健康を保ち、うつ病を予防する効果があることが研究から示唆されています。[21,22]

2011年にJAMAに公開された抑うつ症状のない全米73,970人の女性(平均年齢、63歳)を対象とした10年間のコホート研究によると、カフェインを含んだコーヒーを1日1杯以下の人に比べて、2-3杯飲んだ人はうつ病のリスクが15%低下、4杯以上飲んだ人は20%低下したとのこと。[23]

ハーバード大学公衆衛生大学院で主執筆者ミシェル・ルーカス博士は、

「カフェインを含むコーヒーを飲むと健康に悪影響があると思われているが、カフェインがこれまで考えられていたような効果がないかもしれないことを示す研究が増えてきている。今回の結果は観察研究であったため、因果関係を証明していないため、うつ病リスク低減になんらかの保護作用を示唆しているにすぎない。因果関係についてはさらなる調査が必要」

とコメントしています。[24]

同じくハーバード大学公衆衛生学部のAlbert Ascherio博士は、

「短期的にはカフェインが脳に入り、ドーパミンやセロトニンのような気分に関連する様々な神経伝達物質の放出を活性化することが関係しているかもしれない」

とコメント。[25]

長期的にはコーヒーの抗酸化作用や抗炎症作用が機能しているのではないかと言われています。[26,27,28]

7.肝臓疾患のリスク低下

コーヒーには、肝硬変およびC型肝炎など様々な肝疾患の進行を遅らせることが示されています[29,30,31]。

肝疾患とコーヒーに関するシステマティックレビューによると、コーヒーを摂取する慢性肝疾患患者では肝硬変への進行リスクの減少、肝硬変患者においては死亡率の低下、および肝細胞がんの発生率の低下が確認されています。[32]

また、非アルコール性脂肪肝疾患患者の脂肪性肝炎の重症度と反比例関係が見られたのでそう。

この論文では、慢性肝疾患の患者には毎日コーヒーを飲ますべきだと締めています。なかなか強気笑

8.その他の効果

これら以外にも、コーヒーには涙の量を増やしてドライアイ症候群を和らげる効果があったり[33]、痛風のリスクを減少させたりする効果が示唆されています。[34]

まとめ

生化学的な機序から考えるとコーヒーに含まれるカフェインの悪影響が取りざたされてしまいがちですが、それをひっくるめてもコーヒーのメリットというのは大きいように見えます。

ここに挙げた論文はすべて相関関係を示すだけですので、コーヒー飲むだけで全ての効果を期待できるわけではありませんが、カフェインに罪悪感を感じながらストレスフルにチビチビ飲むくらいなら、思い切って飲み続けてもよさそうな気がしてきますね。(ただ、いくつかの報告でもあったように、デカフェでも同様の傾向がみられたという報告も多いです)

バターコーヒーに関する長期の信頼性の高いエビデンスは今のところありません。

ちなみに、今年(2018年)7月にアメリカの国立がん研究所がJAMAに報告した最新の調査によると、遺伝的にカフェイン代謝が弱い人たちにおいても、コーヒーの利点は同様に得られているとのことです。[35] 遺伝的なカフェイン代謝を考慮したコーヒーに関する論文は多分初めてだと思います。

次回はこの論文についてまとめたいと思います。

というか、こちらをまとめようとしてたら前書きの部分でこの記事が出来上がってしまった笑

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Reference

  1. http://annals.org/aim/article-abstract/2643433/association-coffee-consumption-total-cause-specific-mortality-among-nonwhite-populations
  2. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22591295
  3. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21920945
  4. http://stroke.ahajournals.org/content/42/4/908
  5. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23493733
  6. https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/773949
  7. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4115458/
  8. http://www.readcube.com/articles/10.1038/ejcn.2015.98
  9. http://cebp.aacrjournals.org/content/20/12/2487
  10. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3110172/
  11. https://academic.oup.com/annonc/article/22/3/536/259444
  12. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20570908
  13. https://breast-cancer-research.biomedcentral.com/articles/10.1186/bcr2879
  14. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4349221/
  15. http://cancerres.aacrjournals.org/content/canres/72/13/3282.full.pdf
  16. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25604135
  17. https://pdfs.semanticscholar.org/ed5f/e9239b7417db24b90e87c79c6b7218f83abb.pdf
  18. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5592113/
  19. https://www.nature.com/articles/nn.3623
  20. https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/192731
  21. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20359377
  22. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8604958
  23. https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/1105943
  24. https://www.medscape.com/viewarticle/750420
  25. https://well.blogs.nytimes.com/2011/09/26/coffee-drinking-linked-to-less-depression-in-women/
  26. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21949167
  27. https://www.cambridge.org/core/journals/the-british-journal-of-psychiatry/article/association-of-highsensitivity-creactive-protein-with-de-novo-major-depression/A4AA2379CB770CCD3BC16A445946F808
  28. https://hekyll.services.adelaide.edu.au/dspace/bitstream/2440/55392/1/hdl_55392.pdf
  29. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21987293
  30. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11897178
  31. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4010559/
  32. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/liv.12304
  33. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22336631
  34. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/pdf/10.1002/art.22712

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