高齢女性においてはタンパク質は頻回摂取よりも間欠的摂取が効果的

「タンパク質をしっかり摂る」

最近はタンパク質の重要性が認知されるようになり、様々な情報媒体を見ていてもこのような文面を目にする機会が多くなったように思います。

しかし、かなりたくさんのタンパク質を食べている人でも、いざ血液検査を受けてみると「タンパク不足」の結果が出てきたりします。そうするとまだまだ足りないといって、さらに頻度を増やして多くのタンパク質を摂取するようになってしまいます。

特に高齢女性においてはタンパク質の同化が難しいことも多く、プロテインを使って頻繁に摂取する方法が推奨されていたりしますが、実はタンパク質の摂取のタイミングが同化のポイントだった可能性があります。

 

sponsored link

 

高齢女性におけるタンパク質の間欠的摂取はタンパク質の流出を防ぐ

The American Journal of Clinical Nutritionに掲載された高齢女性を対象にした研究では、同量のタンパク質を頻回で摂取する場合と、パルス的(間欠的)に摂取する場合、タンパク質同化性を改善する上でどちらが効率が良いのかを調査しています。

研究デザイン

健康な15人の高齢女性(平均68歳(60-73歳))を対象に14日間(+適応期間15日)の食餌実験を行いました。

適応期間では8時、12時、20時に同じ量のタンパク質を摂取し、実験期間では8人にはSpread diet(Sグループ)として一日四回(8時、12時、16時、20時)にタンパク質を摂取してもらい、残りの7人にはPulse diet(Pグループ)として、一日のタンパク質摂取量の80%を12時に摂取し、残りを8時と20時に摂取してもらいました。

タンパク質の摂取量はどちらのグループも除脂肪体重を基準として、1.7g/kg.FFM/dayが与えられました。

下の表の左側がSグループ、右側がPグループです。赤枠で囲んだ数値は、実験期間における各時間の一日の摂取量に対する割合です。

Sグループでは均等に4回に振り分けられているのに対し、Pグループでは3回のうち12時の食餌に約80%を摂取するようになっています。

実際に与えられた食事内容も等しくなるように調整されました(カロリー換算)。

調査結果

結果は、窒素バランスタンパク質代謝回転(タンパク合成・分解)によって評価されました。

窒素バランス

窒素バランスとは、摂取したタンパク質量と糞尿や爪などから排出されるタンパク質量の差で表される値です。この値が正であれば同化が促進している、負であれば異化が進行しているということになります。

いくつか測定方法はあるようですが、ここではKjeldahl methodという方法が用いられたようです。

その結果、Sグループでは27±6mg/kg/dayであったのに対し、Pグループでは54.7mg/kg/dayでした。

体重や脂肪量などの体構成比については有意な差はなかったとしています。

どちらも適応期間に比べタンパク質は同化は進行していますが、SグループよりもPグループの方が約二倍大きくなっています。

タンパク質ターンオーバー

タンパク質の代謝回転は、Sグループの4.98±0.17g/kg/dayに対し、Pグループは5.58±0.22g/kg/dayであり、Pグループの方が12%高くなっていることが分かりました。特に合成に関しては、Sグループの3.75±0.19に対し、Pグループは4.48±0.19で有意に差がみられました(表赤枠)。

考察

一連の結果から、1日4回に分けてタンパク質を摂取したSグループよりも、3回の食事のうち1回だけ多くのタンパク質を摂取したPグループの方が、タンパク質同化において大きなメリットがあると言えます。

これまでにも食事の回数とタンパク質の保持率に関する研究報告がされてきましたが(123)、今回の結果は少なくとも高齢女性におけるタンパク質合成には、頻回摂取よりも間欠的摂取が望ましいとする最初のエビデンスであるとしています。

単にタンパク質の摂取量を増やすだけなく、日常の習慣としてのタンパク質摂取のタイミングを適正化させることは、高齢女性に対するタンパク質の代謝回転と保持率の改善に非常に有益となるだろうと纏めています。

若い女性に対してはどうか?

一方、この結果を受けて、同様の若い女性(平均26歳)に対しても同様の実験が行われております。こちら研究では頻回摂取と間欠的摂取に大きな違いは見られなかったと報告しています。

一般的にタンパク質は一回の摂取で20-30gまでしか吸収されないので、それ以上摂取しても同化されないと言われてきました。しかし、最近はそのようなタンパク質の上限は存在しないとする報告が増えつつあります。

少なくとも数時間おきにタンパク質を摂取し続けないと、異化だけが亢進するというようなことは起こらないということが分かります。

 

摂取パターン以外の同化率改善法

また、下記の論文では高齢者のタンパク質の同化率改善については、単にタンパク質の量を増やすだけなく、抗酸化物質(ここではビタミンE)の併用が効果的であることが示されています。

 

いずれの研究も短期間の調査結果であるため、長期的な観点では不明な点も多いものの、タンパク不足の高齢者の女性に対するタンパク質摂取法の一つの指針になると考えられます。

 

まとめ

  • 高齢女性においてはタンパク質を頻回で摂取するよりも、一食に集中して摂取する方がタンパク質の同化が高まる。
  • 抗酸化物質を併用すると同化がさらに高まる。
  • 若い女性においてはあまり差は見られない。
  • タンパク質摂取後数時間で異化が亢進することはない。

 

Reference

http://ajcn.nutrition.org/content/69/6/1202.full.pdf+html

http://m.jn.nutrition.org/content/130/7/1700.full

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3595342/

https://nutritionj.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12937-017-0250-9