子供の脳を活性化させる栄養素

子供の脳の発達に必要な栄養素としては、イワシなどの青魚に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)のようなオメガ3系の不飽和脂肪酸が有名ですね。

卵黄に含まれるレシチンや、ビタミンB群、カルシウム、マグネシウムなどもよくあげられます。最近ではケトン体も?

ところで、イリノイ大学が2017年に報告した研究では、子どもの目の中のルテイン濃度が高い子供は認識力や学力が高いことが明らかになっています。なかなか興味深いので紹介します。

 

ルテインとは?

ルテインとは、ホウレン草やケール、カボチャ、卵黄などに含まれるカロテノイドとよばれる色素のこと。カカオやコーヒーに含まれるポリフェノールなどと同じファイトケミカルの一種です。

抗酸化作用を持つことから目の保護作用があるといわれており、エネルギーの高い青色光からのダメージを抑制したりする作用があります。特に、加齢黄斑変性症のリスク低減効果があり、ネットで調べるとそれを謳ったサプリメントがたくさん見つかります。

またルテインの異性体(構成元素は同じだが分子構造が異なる)ゼアキサンチンにも同様の効果があるといわれています。

脳に蓄積するルテイン

そんな目に良いといわれるルテインとゼアキサンチンですが、目だけではなく脳にも良い効果があるということが分かってきました。

他のカロテノイドに比べてルテインが優先的に脳に蓄積されることが分かってきたそうです。

ルテインの測定

脳にはどれくらいルテインが蓄積しているのか?

これは、目の黄斑にルテインやゼアキサンチンがどれくらい蓄積しているのかを調べることによって代償的に知ることができます。具体的にはMPOD(Macular Pigment Optical Density,黄斑色素光学密度)とよばれる値を調べます。

目に蓄積しているMPODレベルが脳のルテイン濃度を反映していることが分かっています。

成人におけるルテイン濃度と認知制御の関係

イリノイ大学の研究者らは、25歳から45歳までの大人60人を対象に、ルテインレベルと認知制御の関係を調べる研究を行いました。(1)

この研究では、被験者に「認知制御タスク」とよばれる作業が課せられました。

認知制御とは?

複雑な課題の遂行に際して、課題ルールの維持やスイッチング、情報の更新などを行うことで、思考や行動を制御する認知システム、あるいはそれら認知制御機能のこと。この機能が失われた遂行機能障害では、目的の設定、計画の立案、目標に向かって計画を実際に行うこと、効果的に行動すること、の機能が障害されるといわれています。

参照)https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E5%AE%9F%E8%A1%8C%E6%A9%9F%E8%83%BD

つまり認知制御とは、目的をもった一連の活動を効率的に成し遂げるために必要な機能であると言えます。

この実験で被験者に課せられたある作業では、手元の作業に注意を維持することと、手元の作業とは関係ない雑音や気が散ることを無視する能力を測定したとのこと。

そして同時に作業中の脳の電気信号を記録したところ、一般に若い被験者ではP3波の信号振幅が年配の被験者よりも大きくなっていることを発見したそうです。P3波とは意思決定を下す時に発生する脳の電気信号。

興味深いのは、高いMPODレベルを持つ年配の被験者では、若い被験者と同等のP3波振幅を有していることでした。

研究者らによると、「中枢神経におけるカロチノイドの役割は、成人早期および中期の間、高齢者と呼ばれる年齢の10年くらい前に明らかになってくるだろう」とのこと。ルテインやゼアキサンチンを多く含む食品を食べる習慣はできるだけ早い時期から始めるのが良いだろうと伝えています。

子供におけるルテイン濃度と認知制御・学力の関係

その後、同じ研究チームが子どものMPODレベルと学力レベルの関係について調べています。(2)

参加者は49人の8歳から10歳の子ども達。

成人のときに行った実験と同じように、認知制御に関する課題を与え同時に脳波を測定しました。

その結果、より高いMPODレベルを有する子どもたちが課題に対して良好な結果を示す一方、P3波は低くなる傾向があることが分かりました

著者の一人Wolk氏は「今回の結果で目の中のルテイン量が多い子供たちがより高いパフォーマンスを発揮したのは、タスクを正確に実行するために認知的関与が少なくなったと考えられる」と述べています。

つまり、P3波については成人とは逆の結果になったものの、やはりルテイン濃度が高い方が課題に対するパフォーマンスは高かったとのこと。

またその後行われた8歳と9歳56人を対象に行われた別の調査においても、ルテインレベルが高い方が低いレベルの子供たちより学業で優秀な成績を取ることが明らかになってます。(3)

この論文の著者であるKhan氏は「パフォーマンスにおいて見られた違いがルテインに起因するという証明にはならないものの、この新しい研究は、幼い頃の認知に対しておそらく重要である食物成分としてのルテインの潜在的な役割を理解するための第一歩となるだろう」と述べています。

ルテインを含む野菜

ところで、ルテインはどんな食材に多く含まれているんでしょうか?

一般的には緑黄色野菜に多く含まれています。主な野菜のカロテノイドの含有量はこちらの論文で報告されています。(使用する野菜によってデータは大きく異なってくるのであくまで参考までに)(4)

表の一番左の項目がLutein transがルテインの量です。二番目のZeaxanthin transがゼアキサンチン。

ほとんどの野菜に含まれているようですが、特に多く含むのはアスパラガス(Asparagus)、ブロッコリー(Broccoli)、コリアンダー(Cilantro)、ケール(Kale cooked)、ロメインレタス(Lettuce romain)、パセリ(Parsley)、オレンジのパプリカ(Pepper orange)、春たまねぎ(Scallions)、ホウレン草(Spinach)、ズッキーニ(Zucchini)、など。

オレンジのパプリカが一番栄養があるってよく言われるのはゼアキサンチンのことだったのか!(と一人で納得してしまいましたが笑)

あと調理の仕方でかなり量も変化するようです。春たまねぎのようにルテインがゼアキサンチンに変化するものもあるようです。カロテノイドは脂溶性なので、油を使う料理をすると吸収も良く酸化もしにくいといわれています。

緑黄色野菜以外の食材についてはこちらの表を。野菜以外では卵の黄身(yolk)にルテインはやや多く含まれています。ピスタチオが意外に多いのも気になります。

こちらの文献にも測定結果が出ています。参考までに。

ルテインの推奨摂取量と安全性

ルテインの推奨摂取量についての規定はありませんが、加齢黄斑変性のリスクを減らすには6~12mg/dayが必要であるといわれています。(6)

また、こちらの論文によると20mg/dayまでは副作用もなく安全であると報告されています。(5)

日本人を対象にした研究では、サプリメントではなく食品から摂取した場合は、30mg/dayで摂取し続けても副作用は起こらないと報告しています。(7)

上のグラフはμg/100gなので、つまり30000μg/dayまでは大丈夫だということ。例えばパセリなら700gくらいまでなら毎日食べても大丈夫だと。でもそんなに食べれませんね。

まとめ

ルテインやゼアキサンチンが子どもの脳の発達に良い影響をもたらしている可能性があるという研究結果を紹介しました。

脳の材料となるタンパク質や脂肪、エネルギー源となるブドウ糖(炭水化物)だけでなく、野菜もしっかりとることが脳の発達に重要だということですね。

要するになんでもしっかり食べる子がやはり学業成績も良くなるのでしょう、ざっくりまとめると笑

最後に一つだけ注意点として、ルテインを多く含むホウレン草などの一部の野菜は結石の原因となるシュウ酸が多く含まれています。(8

特に最近の野菜は窒素系の肥料が多く使われており、以前よりも多くのシュウ酸を含んでいることが分かっています。

茹でることによって大半のシュウ酸は溶出していくことから、生よりも茹でて食べる方が良いこと、またオーガニック・慣行栽培に関係なく大きすぎる野菜(肥料によって大きくさせられた可能性がある)を避けることが、シュウ酸の相対的に減らすことができるのではないかなと思っています。

 

Reference

https://medicalxpress.com/news/2017-06-link-nutrient-academic-pre-adolescent-children.html

http://www.nutritionnews.abbott/science-quality/new-research-shows-lutein-is-associated-with-improved-learning-i.html

https://medicalxpress.com/news/2014-10-lutein-role-brain-health.html

http://www.globalpovertypromise.com/lutein/intake.html

http://www.sciencebasedhealth.com/Doctors/ContentPage.aspx?WebpageId=677

https://pubag.nal.usda.gov/pubag/downloadPDF.xhtml?id=28661&content=PDF

http://www.nutritio.net/linkdediet/news/FMPro?-db=NEWS.fp5&-Format=detail.htm&kibanID=60583&-lay=lay&-Find

http://www.daitai.info/lutein_club/wa-5101-include.html

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5715043/

http://lpi.oregonstate.edu/mic/dietary-factors/phytochemicals/carotenoids

https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/382145?resultClick=1&redirect=true