WHO(世界保健機構)の不妊症原因調査では、男性不妊の割合は48%、女性不妊の割合は65%だと言われています。一般的な認識よりも男性側に原因がある場合が多いと言えます。

しかし、男性は女性に比べ不妊治療に積極的になれない場合が多いうえに、日本の男性不妊症の専門医は13都道府県に僅か41名しか存在しておらず、男性不妊症はまだまだ理解されているとは言いがたい状況です。

また、仮に検査によって精子に問題があることが分かったとしても、具体的な治療法が存在していないというのも大きな問題となっています。

 

一方海外では、男性不妊症とEPA/AA比の低下に強い相関があると言われているようです。その辺りの論文記事から日本人の傾向を考察してみます。

 

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男性の精子数が年々減少している

あるメタ解析によれば、北アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアの精子濃度は、40歳以下の男性で50%以上減少し、繁殖力が失われつつあることが明らかになっています。

調査結果

ヘブライ大学の調査によると、欧米諸国の男性の精子濃度と全精子数が有意に低下していることが明らかになっています。

1973年から2011年の間の7500件の研究をスクリーニングし、185件の研究から分析を実施したところ、北米、ヨーロッパ、オーストラリアの男性の精子濃度が52.4%低下し、精子の総数は59.3%減少していたそうです。

この調査の重要な点は、低妊孕率や不妊の閾値を下回る精子を持つ男性の人口が増加し続けていること、さらに精子数の減少が男性の死亡率と様々な疾病率に相関があるという最近の研究から、男性の低妊孕性は健康に対する重大なリスクと関連しているということです。

日本人男性はどうか?

この調査では、南米、アジア、アフリカでは調査件数が非常に少なく、大きな減少は見られなかったと報告していますが、実際の日本ではどうでしょうか?

 

少し前の調査ですが、2006年の聖マリアンナ医科大学の岩本教授らを含む日欧の国際共同研究によると、日本人男性の精子数は調査した欧州4カ国・地域よりも少なく、世界最下位であると報告されています。

日本人の精子数を100とすると、フィンランドが147、スコットランドが128、フランスが110、デンマークが104で、日本が最低だったとのこと。

「精子数の違いは栄養や生活習慣、人種差などが関係しているのではないか」と研究チームはまとめています。

テストステロンと精子数の関係

精子数の減少は男性のテストステロンの低下と相関していると指摘されています。

下のグラフは1980年代後半、90年代後半、2000年初期の頃のアメリカ人男性のテストステロンの分泌量を示すグラフです。

テストステロンの低下

一般的に歳をとるとテストステロンは下がってくる傾向がありますが、それ以上に年代別の低下が著しくなっていることが分かります。

精子数とテストステロン

先のヘブライ大学の調査では、精子数の減少は男性のテストステロンの減少に関連があるという仮説も立てています。

 

EPA/AA比と男性の生殖能力

別の調査によると、男性の不妊症患者の血清オメガ3/オメガ6脂肪酸の比率(EPA/AA比)は、正常な男性に比べて有意に低くなっていることが明らかになっています。(論文ではAA/EPA比)

EPA/AA比とは?

EPAとはエイコサペンタエン酸(Eicosapentaenoic acid)、AAとはアラキドン酸(Arachidonic acid)です。

アラキドン酸は細胞膜の強化や免疫力の増強に寄与しますが、多すぎる場合は炎症反応を促進させるという効果もあります。それに対して、EPAは炎症反応を抑制する脂肪酸といわれています。

血液中のこれらの比率を測定したものが、EPA/AA比とよばれる値です。

アザラシの肉や魚(オメガ3)中心の食生活のイヌイットでは8.0程度と非常に大きく、イギリスやアメリカなどの先進国では0.1程度であり、これが心筋梗塞と関連していると言われています。

 

調査結果

この調査によると、精子数が少ないことを原因とする不妊男性患者は、正常な男性に比べて血液中、および精子中のEPA/AA比が半分以下であったそうです。

つまり、男性不妊のオメガ3脂肪酸の絶対値が有意に低かったということになります。

また、男性のEPA/AA比が低くなればなるほど、精子数は少なくなり、精子の運動性は低下し、精子の形態以上は増加したと報告されています。

 

他の研究でも同様の結果が得られています。

 

考察

これらの結果は、相関関係であり因果関係であるとは言えません。

しかし、ラットの実験でもEPA/AA比を小さくすると、精子数、精子濃度の減少、および精子の運動性の低下、高い変形率が示されています。

また他の研究では、オメガ6の副生成物(4-Hydroxynonenal)には毒性があり、これがヒトの精子を損傷する可能性があることを研究者たちは考えており、これがリンパ腫や白血病の増加の原因となっている可能性があると示唆しています。

逆に、不妊症の男性にオメガ3の魚油のサプリメントを毎日約2g投与したところ、精子数と濃度が50%増加したとする報告もあります。

 

EPA/AA比改善は男性不妊症を改善する可能性があります。

 

日本人のEPA/AA比

日本人は欧米諸国に比べ魚を良く食べるため、EPA/AA比が高いといわれています。

実際にはどれくらいなのでしょうか?

日本人の平均と世代差

いくつかの調査結果によれば(1, 2, 3)、日本人のEPA/AA比の平均は0.3~0.4程度だと言えそうです。これは欧米諸国に比べると高い水準であり、日本人に心筋梗塞が少ない理由のひとつだとも言われています。

 

しかし代官山パークサイドクリニックの岡宮裕医師この通説に疑問を投げかけています

 

岡宮医師がある雑誌の企画で普通の30代女性3人のEPA/AA比を測定したところ、3人の平均は0.14だったそうです。この値は、最も低い水準といわれる欧米諸国とほとんど同等レベルです。

 

岡宮医師はこの結果に対し、世代間の差を指摘しています。

日本人の高齢者のEPA/AA比は0.6程度であると言われているそうですが、それは若者よりも高齢者のほうが魚を食べる機会が多かったからではないか、と述べています。

逆にオメガ6が多くオメガ3の乏しい肉や卵、植物油の摂取が多い若者では、EPA/AA比は下がるのではないかと考察しています。

EPA/AA比からみた日本人の食生活の推移

農林水産省の食料需給表によると、日本人一人当たりの植物油の消費量は調査の始まった昭和35年から平成15年頃までは伸び続けており、50年の間に約4倍に増えています。

日本人の植物油の消費量
http://www.oil.or.jp/kiso/seisan/seisan08_01.html

一方で、魚の消費量は年々減少し続けており、肉と魚の一人当たりの消費量は平成23年を境に入れ替わっています。

日本人の魚と肉の消費量
http://blog.goo.ne.jp/366whatday/e/a4a0740dada39a0e9510fcf5ce9b0514

これらの結果だけで日本人のEPA/AA比を予想することは困難です。

しかし、オメガ3の主な供給源だった魚介類の割合が年々減り続け、代わりにオメガ6の比率の高い植物油の消費量がこの50年の間に約4倍にも増えてしまったことを考えると、日本人のEPA/AA比が食生活の変化によって低下してきている可能性も十分に考えられます。

 

男性不妊改善のためにやるべきこと

今、私達の食には安価な植物油が溢れています。

レストラン、ジャンクフード、洋菓子、スナック菓子など、身近な食品にはコストの安い植物油が優先して使われています。

そのため、こちらが意識してオメガ3を取り入れない限りEPA/AA比は低下していくことが予想されます。

男性が妊孕性を高めるためにやるべきことは、まず可能な限り(オメガ6を含む)植物油を避けることになります。

バター、ラード、ヘット、ギーなどの動物性油脂や、ココナッツオイル、オリーブオイルなどのオメガ6をあまり含まない植物性油脂を積極的に使用します。また、オメガ3の補充は同時にEPA/AA比を高めることができるため、魚油のサプリメントが妊孕性を高めうると考えられています。

多くの研究で、男性の不妊症にはオメガ3とオメガ6の適切なアプローチが必要だとの認識が高まりつつあります。

 

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まとめ

  • 欧米諸国の男性の精子数、濃度が低下している
  • 日本人はその欧米諸国よりも精子数が少ない
  • テストステロンの低下と精子数の減少に強い関連がある
  • EPA/AA比の低下が男性の生殖能力低下に関連している
  • ラットでも同様の傾向
  • オメガ6の副生成物に毒性があるのではないか?
  • オメガ3の投与は男性不妊患者の精子数と濃度を50%上昇
  • 日本人のEPA/AA比は0.3-0.4程度であり欧米諸国より高い。
  • 実際は世代間の差が大きく、30代の若者は欧米諸国と変わらない可能性
  • 日本人の植物油の消費量は50年前に比べて約4倍に増加
  • 魚介類の消費量は年々減少
  • 植物油(オメガ6)をできるだけ避けて、オメガ3を補充することが男性不妊を改善する一つの方法

 

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Reference