男性老人は同化ホルモンがなくなったら死ぬ

テストステロンやインスリン様成長因子1(IGF-1)などの同化ホルモンの分泌低下が男性の老化と関連があることは以前から報告されてきました。

2007年11月にJAMAに報告された論文によると()、これらの同化ホルモンがすべて低下する場合において死亡率が高まることが報告されています。

 

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調査目的

男性の老化はテストステロンインスリン様成長因子(IGF-1)、及びデヒドロエピアンドロステロン(DHEA-S)などの同化ホルモンのレベルが継続的に低下することによって起こると言われている。高齢者では、バイオアベイラブル(生物学的利用可能)テストステロン、IGF-1、及びDHEA-S分泌の加齢による減少は、潜在的な交絡因子とは無関係に死亡率が高くなるかどうかを調べた。

調査方法

  • テストステロン、IGF-1、DHEA-S、及び統計は、イタリアのキャンティ地方に住む65歳以上の男性410人に対して行われた。
  • 6年間の調査期間中に126人が死亡した。
  • 最も分泌レベルの低いグループ(下位25%:第一四分位数)の閾値は、テストステロンについては70ng/dL、IGF-1については63.9ng/mL、DHEA-Sについては50μg/dLであった。
  • この基準値を用いて被験者は4つのグループに分けられた。
  • 下位25%の分泌レベルのホルモンを1つも持たないグループ(0)
  • 下位25%の分泌レベルのホルモンをを1つ(1)、2つ(2)、3つ(3)持つグループ

結果

  • 0グループの男性と比較して、1、2、3のグループの男性の脂肪率はそれぞれ、1.47(95%信頼区間;0.88-2.44)、1.85%(1.04-3.30)、及び2.29(1.12-4.68)であった。
  • 多変量解析の結果、3のグループの男性のみが死亡率が有意に増加した(ハザード比2.44 (1.09-5.46))

考察

4つのグループに分けられた男性が、6年の間にどれくらい死亡したのかを示すグラフが下記のグラフです。

これを見ると分かるとおり、3つの同化ホルモンのうち1つでも下位25%に属するホルモンを持っていると、その後の死亡率が上昇することが分かります。

さらに、その数が増えるほど明らかに死亡率も増加していっているように見えます。

こちらの表はそれぞれのホルモンの死亡リスクとグループ別の死亡リスクです。

単独のホルモンでは、最も低い四分位のグループでは、DHEA-Sだけが1.0を跨いないのでリスクありという判断になります。

下のグループ別の死亡リスクをみると、1と2のグループの95%信頼性区間は1を跨いでいるため、リスクなしという判断になりますが、3のグループでは下が1.09となっているためリスクが生じます。

さらにTable2の結果から、身体活動、ログ(IL-6)レベル、糖尿病、高血圧、末梢動脈疾患、冠状動脈性心疾患、うっ血性心臓疾患などの慢性疾患を含む交絡因子を調整した後では、3つのグループの死亡リスクはそれぞれ、1.04(95%CI、0.56-1.95)、1.34(95%CI、0.67-2.65)、2.44(95%CI、1.09-5.46)となります。

各ホルモン別の下位4分位は全て1.0を跨いでいるので、リスクなしとなります。

つまり交絡因子を除去した統計では、3つ全てのホルモンが低下している場合のみ、リスクが高まるという結果になります。

死亡率(100人年当たりの事象)は、0グループでは2.9、1グループでは6.2、2グループでは16.7、3グループでは46.0であったとのこと(P = 0.007)。

今回調査された3つの同化ホルモンは、脂質およびグルコース代謝に影響を及ぼします。

老化プロセスは同化ホルモンの減少と異化ホルモンの増加によって起こることが示唆されており()、同化ホルモンの低下が死亡率上昇に関連することは、それほど新しい事実ではありません。

しかしこの調査から、1つの同化ホルモンの低下だけでは死亡率の上昇には繋がらないという結果が得られたことは非常に興味深いところです。

過去には、テストステロンと死亡率の関連性を見出した報告もありますが()、退役軍人病院での調査であったため、結果は疑わしいとこの論文では書かれています。

DHEA-SとIGF-1についても、これらが長生きのバイオマーカーとなりえるかどうかについて調査されてきましたが、今のところはっきりとその可能性を示すデータはありませんでした()。

これまで、高齢者の疫学研究においては複数の同化ホルモンより単一ホルモンの低下のみに焦点が当てられてきたため、これらの三つの同化ホルモンの評価は高齢男性において今後注意されるべきであるとまとめています。

まとめ

高齢男性において、複数の同化ホルモンの調節不全が健康状態悪化を示すマーカーとなり、高齢者の老化を促進する可能性を高めます。

今後、これらのホルモンが下がらないためにはどのような食生活や生活習慣を行えばよいかまとめていきたいと思います。

 

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Reference