就学前の子どもの睡眠が就学後の異常行動をなくす

就学前の子ども達の睡眠時間が短くなると、就学後に精神的、感情的なコントロール機能が低下する可能性があることを示した調査がJournal of Academic Pediatricsに報告されています。

就学前の子ども達には11時間以上の睡眠時間が必要だとまとめています。

 

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調査方法

就学前の子ども達1046人に対して、日常的にどれくらいの睡眠をとっているかなどの、アンケートに定期的に回答しました。

生後6ヵ月から2歳までの子どもに対しては、11時間未満、11時間から12時間未満、12時間以上の3つ、3歳から4歳の子どもに対しては、10時間未満、10時間から11時間未満、11時間以上の3つ、5歳から7歳の子どもに対しては、9時間未満、9時間から10時間未満、10時間以上の3つの時間によって区分されました。

これらの子ども達が7歳になったときの、実行機能、行動、社会的感情機能を評価しました。

評価は、BRIF(Behavior Rating Inventory of Executive Function)とよばれる子どもの実行機能に関する指数と、SDQ(Strengths and Difficulties Questionnaire)とよばれる強さと困難さに関するアンケートを用いて行われました。評価は母親と教師の両方が行いました。

これらの評価結果は、スコアが高いほど機能が劣ることを示します。

結果

7歳の児童におけるBRIEFの平均値(カッコ内は標準偏差)は、母親の報告で48.3(7.9)、教師で50.7(9.4)であり、SDQの平均値は、母親で6.5(4.7)、教師で6.2(5.7)でした。

多変量モデルによる解析結果では、3歳から4歳の間の睡眠時間が平均10時間未満だった子ども達は、この年齢で推奨される睡眠時間の子ども達に比べ、BRIFが2.11 point(95%信頼区間:0.17-4.05)、及びSDQが1.91 point(95%信頼区間:0.78-3.05)悪くなっていました。

また、5歳から7歳までの間の睡眠時間が9時間未満だった子ども達もスコアが悪くなっていました

どの年齢においても、母親と教師の結果は一致していましたが、幼児期(6ヶ月から2歳)の間の睡眠時間が11時間から12時間未満だった子ども達については、教師は高く母親は低く評価されていました。

結論

就学前の不十分な睡眠時間は、就学後の神経行動プロセスに影響を与える可能性がある。

考察

この調査の主任研究員であるElsie Taveras博士は、7歳までに十分な睡眠時間が与えられなかった子ども達は、「注意を払う能力が劣り、感情のコントロールに問題があり、実行機能が全般的に弱く、問題行動を起こしやすい」と述べています。

さらに「もしこのことを考えるなら、これは子どもの人生の基本的な機能になります。学校や家庭、同僚との関係において、能力を発揮できるかどうかに大きく関わります」と述べています。

 

Boston Children’s HospitalのJudith Anne Owens博士によれば、過去の研究においても睡眠は良好な脳機能を維持するために重要であり、脳の発達にはさらに重要な可能性があることが示されています。また、睡眠不足は脳の可塑性、つまり環境への影響や経験に対して柔軟に変化する能力に影響を与える可能性があると述べています。

 

睡眠はまた、脳に蓄積する毒素を取り除く時間であるとも言われています。

睡眠不足は、推論や感情のコントロールを司る前頭前皮質(実行機能を支配)、扁桃体(感情を調節)、および線条体(衝動制御を調節)に影響を与えることが示されているとOwens博士は述べています。

子ども達にはどれくらいの睡眠時間が必要なのか?

推奨される睡眠時間は年齢によって異なります。

米国小児学会が、Journal of Clinical Sleep Medicineに掲載したAmerican Academy of Sleep Medicineには、以下のような基準が設けられています。

4-12ヶ月 12-16時間(昼寝を含む)
1-2歳 11-14時間(昼寝を含む)
3-5歳 10-13時間(昼寝を含む)
6-12歳 9-12時間
13-18時間 8-10時間

就学前の子ども達は、少なくとも11時間の睡眠時間が必要だといわれています。さらに、10代の子ども達の睡眠不足は自傷や自殺願望との関連も指摘されています。

就学前だけなく、就学後も十分な睡眠が重要です。

子ども達を寝せるには?

幼児や就学前の子ども達には、就寝時のルーチン化が重要です。例えば本を読むとか、お母さんとおしゃべりをする、歯磨きをする、トイレに行く、など毎日決まった時間に決まったことを行うようにさせると子ども達の就寝リズムを作ることができると言われています。

また、ある調査によれば、3歳未満の子ども達がテレビを見ると、就寝時間と睡眠時間が不規則になる可能性が高くなることが報告されています。アメリカの小児科学会では、2歳以下の子ども達にはテレビを見せないように指導しています。

3歳以下でなくても、就寝前のテレビは子どもたちの睡眠を妨害する可能性があるので注意が必要です。

 

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Reference