長寿に繋がる血中ビタミンD濃度の最適値は存在するか?

長寿に繋がる血中ビタミンD濃度の最適値は存在するか?

高すぎるビタミンDは死亡率が高まる

ビタミンDは、糖尿病やガンのリスクを減少させたり、最近ではアレルギーや花粉症にも効くと言われていたり、まさに万能薬として謳われている栄養素の一つだと言えます。

一般的には高濃度のビタミンDであっても人体にほとんど悪影響を及ぼさないと言われていますが、果たしてどの程度までが毒性レベルではなく健康に良いと言えるのでしょうか?

そのような最適値は存在するのでしょうか?

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ビタミンDと心血管疾患・脳卒中・急性心筋梗塞

2004年から2010年までの間にコペンハーゲン大学で行われたビタミンDと心血管疾患による死亡率の関係を調べた研究を紹介します。

研究者らはデンマーク人243,672人を2004年から2010年まで追跡調査を行いました。この間に死亡したのは16,645人で最も多かったのは心血管疾患で5,474人。

全参加者のビタミンDと心血管疾患の死亡率をグラフにしたものが下の図。

上下の薄いラインは95%信頼区間を示しています。

最もリスクが低くなる70nmol/Lを基準にすると、ビタミンDが低い場合も高い場合もリスクが高くなることが分かりました。

次にビタミンD濃度と脳卒中による死亡率では下図のようなグラフ。

最後にビタミンD濃度と急性心筋梗塞(AMI)の死亡率の関係は下のグラフ。

いずれの疾患でも、低い場合と高い場合でリスクが向上することが分かります。

研究者らは、ビタミンD濃度が高すぎると血管の細胞がカルシウムを蓄積し始め、それが動脈の狭窄と石灰化を引き起こすのではないかと考察しています。

ビタミンDと死亡率

同じ研究グループが2012年にJournal of Clinical Endocrinology and Metabolismに報告した研究によると、ビタミンD濃度と全死亡率に関しても心血管疾患同様逆J字のカーブを描くことを見出しています。[2]

点線は95%信頼区間。

この研究での被験者は247,574人で、追跡調査期間中に死亡した人は15,198人でした。

血中ビタミンD濃度50nmol/Lを基準にすると、50-60くらいのところに最も死亡リスクが低くなる領域が出てきます。

カラミ的まとめ

ビタミンDはビタミンというよりはホルモンとして働く特徴を持っており、高濃度側での毒性が非常に少ないと言われてきました(一般的に過剰症を発症すると言われる値は250nmol/L)。

しかし長期的な傾向を見ると、低い側においても高い側においても様々なリスクが高まりやすくなることが示唆されます。結果を見る限りでは50-70nmol/L程度が最適値と見られるしょうか。

ただ、上で紹介した二つの論文にはコメントも多く、年齢の調整がされていないことや高齢者が死亡する直前になってビタミンDサプリメントの摂取を開始したために引き出されたアーティファクトであるという指摘もされています。[3][4]

まだまだ不明な点も多いという感じ。

一方最近の報告では、ビタミンDサプリメントが体内で合成されるビタミンDと同様の働きをしていない可能性があるという調査結果も報告されています。

アメリカでも一日4000IU以上の摂取は控えるように勧告しています。

これらの結果からビタミンD濃度を高く維持することが無条件に健康に良いとはまだ言い難く、どこかに上限が存在することは意識しておく必要がありそうです。

またビタミンDが低すぎることは問題だけど、それを高めるため、あるいは維持するためにビタミンDサプリメントを使用することは慎重に行うべきだというのが今のところの私の結論です。

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Reference

[1]https://www.semanticscholar.org/paper/A-Reverse-J-Shaped-Association-Between-Serum-D-and-Durup-J%C3%B8rgensen/08b0f6915eb5347167046d0b2d9e79eee4ed7040
[2]https://academic.oup.com/jcem/article/97/8/2644/2823270
[3]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26047082
[4]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27809719

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