フェリチンが高い子供は学業成績も良いのか?

フェリチンが高い子供は学業成績も良いのか?

鉄サプリで子供の学業成績は上がるのか

鉄欠乏とADHDが関連していて鉄の補充によって改善するという話は実は20年以上前から様々な論文で報告されてきました。

最近はこの話が飛躍してADHDでも貧血でもないのにフェリチンを高めれば成績も上がるという話まで出てきているようです。

必要以上の鉄サプリを摂取することの危険性に関しては、このサイトでも何度も紹介してきました。


はたして鉄サプリでフェリチンを上げると、本当に子供たちの成績も上がるのでしょうか?

エビデンスを探してみました。

sponsored link

鉄欠乏(フェリチン)とADHD

鉄欠乏(貧血ではなく低フェリチン)とADHDの相関が初めて報告されたのは、今から15年前の2004年にJAMAに報告されたこちらの論文[1]。(ちなみに鉄欠乏性貧血とADHDの関連の論文はいくらでもある. 例えばこちら[2])

対象は4歳から14歳までの平均9.2歳のADHD児童53人(ADHDグループ)と平均9.5歳のADHDと診断されていない27人(コントロールグループ)で、鉄の貯蔵量を示す血清フェリチンレベルとADHDの重症度を示すConners ‘Parent Rating Scale Scoreと呼ばれる評価法との相関を調べました。

その結果、コントロールグループではフェリチンの平均が44±22ngであったのに対し、ADHDグループでは23±13ngと低くなっていることが分かったのだそう。

またConners ‘Parent Rating Scale Scoreとフェリチンの間にも一定の逆相関があることが見つかりました。

このような報告からADHDで鉄欠乏を持つ子供にはフェリチンも着目した鉄のケアをしていこうという動きが始まったものと思われます。

で、実際にADHDを持つ子供達に鉄サプリメントを摂取させた場合どのようになったのか?

フランスで行われたある調査によると[3]、ADHDを持つフェリチン30ng/mLの子供23人に、1日80mgの硫酸第一鉄を12週間摂取させたところ、ADHDの評価指数に有意な減少が見られたとのこと。一方のプラセボグループでは変化は見られなかった。

低血清フェリチンを有する小児においてはADHDの症状を改善するようだと著者らは結論付けています。

ADHDではない子供たちでもフェリチンを高めれば認知能力は高まるのか?

鉄サプリでADHDが改善するのなら、普通の子供たちがもっと鉄を摂取してフェリチンを高めれば認知能力も高まるのではという単純な期待が湧いてくるのは親の性。

そんな期待を調べたメタアナリシスがあります。[4]

中国のあるグループが行った調査では、5本の論文をもとに鉄サプリを服用した1825人の小学校低学年の子供たちと認知機能に関するメタアナリシスを行ったところ、鉄サプリメントを摂取することは僅かではあるものの認知能力を高めると報告しています。

と、言っても5%くらい笑

普段テストで80点を取っていた子が84点になるレベルと言われると、投資する意味があるのかどうか。。

この論文に関してはアメリカのマギル大学のKatherine Gray-Donald博士がコメントを発表しており、試験開始時に貧血を持つ子供と持たない子供が分けられていなこと、採用した論文がすべて中低所得国のみで構成されていることから結果が強調されすぎているのではないかと指摘しています。[5]

ヘモグロビンとフェリチンと認知能力の関係は、2002年にタイの小学生277人を対象に行われた調査が参考になります。[6]

この調査では、鉄の状態はヘモグロビンとフェリチンによって決定され、認知能力に関してはIQと数学、国語(タイ語)についてz-scoreと呼ばれる評価法によって評価しています。

結果は以下の通り。

左側(a,c,e)はフェリチンが20以下の子供達、右側(b,d,f)はフェリチンが20以上の子供達で、上からIQ、国語、数学の結果。

フェリチンが低いグループではヘモグロビンが高くなるほど全ての項目で認知能力が向上しています。特に数学のスコアは有意に上昇しています。

一方、フェリチンが20以上のグループでは、ヘモグロビンと成績の間にほとんど相関はありません。

以上の結果から著者たちは、鉄欠乏(低フェリチン)の児童においてのみヘモグロビンと認知機能の間に相関関係が見出されたが、鉄欠乏でない児童においては同様の証拠は見出されなかったと纏めています。

ちなみに、別の調査でもやはりフェリチンと学業成績に相関関係は見られなかったとのこと。[7]

まとめ

フェリチンが高い方が学業成績が良くなるというエビデンスは今のところ報告されていませんが、フェリチンが20ng/mlでかつ貧血の場合にのみ学業成績が低下する傾向がみられることがあるようです。

したがって貧血でも低フェリチン(20以下)でもないのに子供に鉄サプリを飲ませても、学業成績にはあまり効果は期待できないと言えそうです。あったとしても投資効果は5%程度。そう思っていれば期待外れにならないで済むかもしれません。

子供のフェリチンが20以上でヘモグロビンが正常範囲なら、勉強の面白さを教えてあげる方が大事なのかなと個人的には思います。

sponsored link

Reference

[1]https://jamanetwork.com/journals/jamapediatrics/fullarticle/485884
[2]https://academic.oup.com/jn/article/131/2/649S/4686855
[3]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18054688
[4]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26629120
[5]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3832551/
[6]http://apjcn.nhri.org.tw/server/APJCN/11/2/117.pdf
[7]https://ijpbs.com/ijpbsadmin/upload/ijpbs_53acfdd8be010.pdf

子どもカテゴリの最新記事