魚をよく食べる子供は睡眠の質が高まってIQが上昇する

魚をよく食べる子供は睡眠の質が高まってIQが上昇する

魚に含まれるオメガ3脂肪酸(エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA))が子どもの知能の改善や認知機能に関連があることはこれまでに多くの研究から示されてきました。[1]

妊娠中の母親が魚の摂取やオメガ3サプリメントを摂取すると、子供が4歳になったときのIQを上昇させることも報告されています。[2]。

一方、子供の学業成績やIQ、認知機能と睡眠時間には相関があり、睡眠時間が短いほどこれらの能力が低下することが知られています。[3,4,5]

今回紹介する研究では、魚の摂取量と子どもの脳機能、そして睡眠の質、これら3つの相関について調べられています。

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魚を食べることは睡眠を仲介して認知能力向上に導く?

2017年12月にNatureの電子ジャーナルScientific Reportsに報告されたペンシルバニア大学の中国人グループの調査。

被験者は中国人の12歳の男女541人で、調査の目的は以下の3つ

  1. 魚の摂取量は小学生における睡眠障害の減少とIQの高得点に関連するか
  2. そのような関係が交絡因子を取り除いた状態でも維持されるか
  3. 睡眠の質が魚の消費量とIQの関係を媒介するか

調査方法

魚の摂取量

魚の摂取量については、過去の1か月間にどのくらいの魚を食べたのか、子供たちに以下の質問をして測定されました。

  1. 全く食べない
  2. めったに食べない(月に2回程度)
  3. 時々食べる(月に2-3回)
  4. 頻繁に食べる(週に1回)

調査の結果、少数派だった1と2については纏められ、結果的に次の三つのグループに分けられました。

  1. 全く食べない・稀に食べる
  2. 時々食べる
  3. 頻繁に食べる

IQテスト

子供達は語彙力やコーディングなどの言語能力と非言語能力を調べる改訂版Wechsler Intelligence Scaleと呼ばれる中国語版のIQテストを受けました。

睡眠の質

睡眠の質については子供の親が回答した子供の睡眠習慣調査票(CSHQ)の報告から測定されました。

CAHQには8つの大項目(就寝前の抵抗、入眠遅延、睡眠時間、睡眠不安、夜間の覚醒、錯眠、睡眠時呼吸障害、および昼間の眠気)からなる33の睡眠障害項目から構成された調査票で、中国での睡眠障害の調査に広く使われているとのこと。

調査結果

被験者541人中、魚を頻繁に摂取していると答えたのは137人(25.3%)。逆にをめったに食べない(月に2回以下)と答えたのは、315人(58.2%)。

魚の摂取頻度とIQ測定結果には有意な関連がありました。

VIQは言語性IQ、PIQは動作性IQ、FIQは全検査IQと呼ばれる項目です。

それぞれ三本の棒グラフのうち、左の黒が「全く食べない・稀に食べる(月に2回以下)」、真ん中の灰色が「時々食べる」、右の濃い灰色が「頻繁に食べる」のグループ。

結果を見れば明らかなように、魚の摂取量とIQには相関があり摂取量が多くなるほどIQも高くなることが分かります。

また、様々な交絡因子を取り除いたあとでも、魚の摂取量と睡眠の質には独立した関連があり、魚を頻繁に食べるグループの子供たちの総睡眠障害スコアは、時々食べるグループよりも低くなることが分かったのだそう。

頻繁に食べると言ってもこの研究では週に1回以上なので、それだけで睡眠の質が改善し認知能力も高まるのなら、かなり美味しい話だと言えそうですね。

オメガ3がメラトニン産生を促進して認知能力向上の仲介者となっている

著者らは今回の結果を以下のように考察しています。

オメガ3脂肪酸は哺乳類動物の神経組織の重要な成分であり、皮質グルコース利用や神経可塑性などのプロセス関与などを含め、神経組織の成長と機能に大きな寄与を果たしていることが知られています。[5]

また、オメガ3脂肪酸は内因性メラトニン産生などの睡眠調節プロセスの重要な役割を果たしていることが動物実験から実証されていて、睡眠への直接的な影響を担っているとも考えられています。[6]

一方、睡眠は、学習、作業記憶、記憶の統合、および神経可塑性を促進することによって、子供の認知機能に影響を与えていると考えられています。[7]

従って、魚の摂取が直接認知機能に影響を及ぼすのではなく、睡眠の改善によって神経発達の促進につながったと考えるのが合理的だろうと著者らは考察しています。

まとめ

週に1回以上魚を食べるだけで、子供の睡眠の質と認知能力を高められるという調査報告を紹介しました。

近年、日本での魚の摂取量は大幅に減ってきていて、2016年には肉類が一人当たりの消費量を追い越しています。

https://www.spf.org/_opri/newsletter/2018/430_2.html

 

2004年時には世界で一番消費していたのは日本でしたが、2013年には7位にまで後退しています。

https://www.spf.org/_opri/newsletter/2018/430_2.html

特に20歳以下の子供たちにおいて消費量が激減していることが、水産庁の調査から分かっています。

それと連動するかのように、OECD学力到達度調査の結果も日本人の成績は年々低下…ということはありませんけども(そんな面白い話にはならない笑)、上位国の顔ぶれを見てると先進国における魚の消費量と学力にはなんとなく関連がありそうにも見えて興味深いですね。

さて、今回の報告から「よーし我が家も魚を増やそう!」って話にもなるかもしれませんが、実は魚の消費量と認知能力には逆U字カーブが形成されることが分かっています。[8,9]

水銀の蓄積量が増えることにより認知能力が逆に下がってきてしまうのだとか。これらの論文を勘案すると、週2,3回くらいが適量なのかなあという気がしています。

まあ何事も偏り過ぎはよくないってことですね笑

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Reference

[1]https://academic.oup.com/jn/article/137/4/855/4664682
[2]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12509593?dopt=Abstract
[3]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20093054?dopt=Abstract
[4]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20156702?dopt=Abstract
[5]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3564638/
[6]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9684742?dopt=Abstract
[7]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20093053?dopt=Abstract
[8]https://www.plefa.com/article/S0952-3278(12)00003-8/fulltext
[9]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2590872/

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