フェリチンの基準値はどれくらいが正常?

フェリチンの基準値はどれくらいが正常?

体内の貯蔵鉄の指標であるフェリチン値が低値である場合、貧血でなくても様々な不定愁訴を生み出します。

日本人女性は特にフェリチン不足が深刻であり、フェリチンを改善するだけで体調不良が改善するケースも多く見られます。

一方で、高すぎるフェリチンもまた様々な疾患のリスクを高めることが、多くの調査で明らかになっています。

これまでフェリチンの上限についてはあまり言及されてきませんでしたが、一体どの程度のフェリチン値が適正といえるのか考察します。

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フェリチンとは

フェリチンとは、肝臓や細胞内に鉄を貯蔵するためのタンパク質の一つです。

血液検査で得られるフェリチン値が体内の貯蔵鉄の指標の一つとされていますが、炎症反応によってマスキングされやすい(真のデータが見難い)データでもあります。

CRPなどの値と共に総合的に判断する必要があります。

フェリチンの基準値

現在日本におけるフェリチンの基準値は、検査機関によって若干異なるものの、下記のような値が一般的に使用されています。

男性:15-250 ng/dl

女性:5 – 120 ng/dl

血液検査の基準値というのは、被験者全員のデータの統計から、平均値と標準偏差(平均値からのばらつきの平均)を算出し、平均値±(標準偏差×2)の範囲を基準値と設定します。

こうすることによって、95%の人が範囲内に収まるようになります。

しかし、この被験者の中には健康な人もいれば、病気の人も含まれています。

特にフェリチンに関しては、個人差が大きい上に炎症反応などによって数値が大きく変動します。

極端な話をすれば、進行中のがん患者のデータが含まれている場合も有り得るので、このような基準値はほとんど意味を成さないと言えます。

また、多くの医者もこれらの基準値をそのまま適応しますので、たとえ女性のフェリチンが一桁であっても、問題なしと判断することもあります。

 

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健康なフェリチン値

では、実際にどれくらいの値を目安にすればよいのでしょうか?

このことについて、現在アメリカで流行している「Dumping IRON」の著者でもあるDr. P.D. Manganが自身のブログで、人間の健康なフェリチン濃度は50-80ng/ml程度であるべきだと述べています。

Dumping Iron: How to Ditch This Secret Killer and Reclaim Your Health (English Edition)

これは鉄過剰症に関わる理由ではなく、フェリチンがこれより高くなると様々な疾患のリスクが上昇することを示した科学的研究データに基づいています。

いくつかのデータを紹介します。

フェリチン・トランスフェリン飽和率と2型糖尿病・心血管疾患の相関

Dr. Leo Zacharskiらの研究によると、フェリチン80ng/mlまではヘモグロビンの上昇と比例したが、100ng/mlを超えるフェリチン値では2型糖尿病心臓血管疾患のリスク増加と関連していたことが明らかになっています。

ヘモグロビン上昇にフェリチンが80程度まで上げる必要のある人もいるが、80-100レベルを超えてくるとヘモグロビンは増加せず、上記疾患リスクが高まるとまとめています。

また、これらの罹患率が低く、死亡率が相対的に低く保たれている地中海沿岸地域の住民のフェリチンの平均レベルは68ng/mlだったそうです。

フェリチンと冠動脈心疾患(CHD)の相関

アメリカのボルティモア、メリーランドで行われた30歳から64歳までの1823人の10年間の追跡調査によると、男性の場合は血清フェリチンが10上昇するごとにCHDのリスクが0.5%増加したことが明らかになっています。

女性の場合は、フェリチンが10上がるごとに、CHDのリスクは5.1%ずつ増加したとのこと。

またこれらの値は、CRPの値に関係なく有意にCHDリスク増加と関連していたとまとめられています。

フェリチンと頸動脈アテローム性動脈硬化症の相関

2004年に行われたドイツ人の調査では、血中フェリチンと頚動脈プラークの増加に有意な相関が見られました。

フェリチン82.6を基準として比率を割り出すと、90を超えたところからORが一気に上昇することが分かります。

特に、LDLコレステロールが同時に高い場合にはその相関はより強くなります。

フェリチンが100を超える成人では、LDLコレステロール(横軸)上昇と共に、急激にリスクが増加していることが分かります。最も高いフェリチン498/LDLコレステロール5.24では、実に2.3倍にまで上昇します。

フェリチンと頸動脈アテローム性動脈プラークの相関

2010年の南西フランスでの972人の追跡調査によると、フェリチンが10ng/ml上昇するに連れて、アテローム性動脈硬化症のリスクは3%ずつ増加すると報告しています。

これらの調査はすべて炎症のない被験者で行われました。

フェリチンと心筋梗塞の相関

2012年に報告されたインドでの症例対照研究によると、フェリチンが200ng/ml以上の人では、急性心筋梗塞に罹るリスクが5.72倍になるという結果があります。

フェリチンと心筋梗塞

論文では、高いフェリチン値と心筋梗塞には強い相関があるとまとめています。

脳内の鉄とアルツハイマーの進行速度への相関

オーストラリアの研究者によれば、脳内に蓄積した鉄がアルツハイマーを引き起こすといわれるアミロイドの蓄積に相関があると報告しています。

117人の参加者のMRI脳スキャンの解析では、海馬の高レベルの鉄の存在がアミロイドとともに作用し、アルツハイマーの進行を促進することが示唆されています。

著者の一人Ayton博士は、「高アミロイドで低濃度の鉄が蓄積している人は、最終的にアルツハイマー病を発症するが、高い濃度の鉄を有しているアルツハイマー病患者よりもずっと進行は遅くなる」とまとめています。

まとめ

フェリチンは低くても問題が多くなりますが、高すぎる場合は、単に炎症反応を示唆するだけでなく、様々な疾患リスクを高めることに繋がります。

多くの論文では、フェリチンが90を超えるところで急に罹患リスクが高まることが示されています。

また、フェリチンが高くなると吸収において拮抗する亜鉛が不足するリスクも高くなります。

 

Dr. P.D. Manganの指摘どおり、男性女性に関係なくフェリチン値は50-80ng/ml程度に留めておくことが、最も疾患へのリスクが少ないと考えられます。

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Reference

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