ファスティング中の運動では脂肪燃焼を促進する遺伝子が出現する

ファスティング中の運動では脂肪燃焼を促進する遺伝子が出現する

朝食前の運動が一日の脂肪燃焼量を増加させるという論文を記事にしましたが、

なぜ絶食中の運動では脂肪燃焼が促進するのでしょうか?

グルコースが枯渇しているから?

インスリンが少ないから?

どうやらそれだけではなかったようです。

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朝食前の運動では脂肪燃焼を促進する遺伝子が出現?

イギリスバース大学のグループの研究。[1]

10人の健康な肥満男性(ってなんか変な言い方だが…笑(論文にそう書いてある))を対象に、午前中に1時間程度の中強度(VO2maxの60%)のウォーキングをさせました。

参加者たちは、別々の日に朝食前(断食時)と朝食後に運動をさせられ、その後血液検査を行いました。

結果

朝食前と朝食後にウォーキングを行ったときの消費エネルギーを比較すると以下の通り。

朝食後では炭水化物の酸化量が多くなっているのに対し、朝食前(断食中)では脂肪の酸化量が増えていることが分かります。

この結果は前回紹介した論文の結果と同様です。

参加者の血糖値(A,B)とインスリン(C,D)の結果です。

これもまあ予想通り。絶食中は血糖値の変化がありませんし、インスリンも基底状態にあるので変化は見られません。

そして、血液検査の結果がこちら。

白が朝食前、灰色が朝食後にウォーキングしたときの結果。

いくつかの遺伝子発現に違いが見られています。特にオレンジの矢印で示した遺伝子について着目すると、

ATGL(adipose triglyceride lipase)

  • 脂肪細胞のトリグリセリド(脂肪)をジアシルグリセロールと遊離脂肪酸に加水分解する反応を触媒するリパーゼ。

HSL(Hormone sensitive lipase)

  • 中性脂肪の分解過程で現れるジグリセリドを加水分解する反応を触媒するリパーゼ。HSLによって分解された中性脂肪は遊離脂肪酸となり、グリセリンと共に血液中に放出される。

FAT/CD36 (cluster of differentiation 36)

  • 長鎖脂肪酸の細胞内への輸送を促進させ、筋肉の脂肪利用、脂肪組織のエネルギー貯蔵、および腸管の脂肪吸収を促す。

PDK4(Pyruvate dehydrogenase lipoamide kinase isozyme 4)

  • TCAサイクル (クエン酸回路) を抑制し、細胞内代謝を糖質から脂質に転換させる酵素

MCP1(monocyte chemotactic protein 1)

  • 白血球の一つである単球の遊走と活性化を促進するケモカイン。単球は組織内に入ってマクロファージとなり、死んだ細胞や組織などを捕食するいわば細胞の掃除屋。

 

働きを見ると分かると思いますが、これらの遺伝子は主に脂肪組織の分解とエネルギー源としての利用を積極的に促す働きをします。

断食中の運動ではこのような遺伝子が選択的に多く出現することによって、脂肪の燃焼が促進されるということだったようです。

最後に著者のコメントを引用します。

After eating, adipose tissue is busy responding to the meal and a bout of exercise at this time will not stimulate the same [beneficial] changes in adipose tissue. This means that exercise in a fasted state might provoke more favorable changes in adipose tissue, and this could be beneficial for health in the long term,

今回の結果は、摂食状態によって激しい運動による脂肪細胞の応答が変わるということを示す最初のエビデンスである。食事の後は、脂肪組織は食事に反応するのに忙しく、この時点で運動をしても絶食時の運動と同じような有益な変化は刺激されない。これは、絶食状態の運動が脂肪組織に対してより好ましい変化を引き起こす可能性があることを意味する。そして、このことは長期的には健康に有益である可能性がある。

https://www.sciencedaily.com/releases/2017/04/170406152651.htm

まとめ

朝食前(断食時)の運動は、脂肪組織破壊を促進する遺伝子の出現量が多くなる。

この結果、炭水化物の酸化量よりも脂肪の酸化量が多くなり脂肪の燃焼が促進される。

朝一でこの遺伝子を出現させておくことで一日中脂肪燃焼が促進する。のかもしれない。

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Reference

[1]https://www.physiology.org/doi/pdf/10.1152/ajpendo.00006.2017
[2]https://www.sciencedaily.com/releases/2017/04/170406152651.htm

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