脳の老化を食い止めるエルゴチオネイン

脳の老化を食い止めるエルゴチオネイン

キノコが脳の老化を食い止める

エルゴチオネインとは天然に存在するアミノ酸の一種で、真菌や細菌によって合成されます。身近な食品では、キノコに多く含まれていることが知られています。

抗酸化作用と細胞保護作用があり、いくつかの疾患と血中に含まれるエルゴチオネイン濃度の低下の関連が報告されています。[1]

逆にエルゴチオネイン濃度が高い人は、そのような疾患になりにくかったり、進行が遅くなったりするのだとか。

最近の研究では、特に脳の機能に強く影響を与えることが明らかになってきています。

sponsored link

動物実験による結果

動物実験の結果では、エルゴチオネインが神経毒性を持つβアミロイドペプチドから脳細胞を保護する機能があることが示されています。[2, 3]

エルゴチオネインを投与したマウスでは、海馬におけるβアミロイドペプチドの蓄積量が有意に低下し、また脳の脂質過酸化を防止する機能があることが報告されています。これによって、マウスにおけるβアミロイドペプチド由来の記憶喪失、学習能力低下から保護することができたと考えられています。

ヒトを対象とした研究では、血中に含まれるエルゴチオネインの濃度は60歳以上から急激に低下することが報告されており[4]、軽度の認知症を有する人たちは、同年代の人たちに比べてエルゴチオネインの濃度が有意に低下していることが分かったのだそうです。

また別の研究では、パーキンソン病を有する人においても血中のエルゴチオネインの濃度は有意に低かったとのこと。[5]

これらの研究から、血中エルゴチオネイン濃度低下と認知症やパーキンソン病などの脳の老化リスクには何らかの相関があることが示唆されています。

では、逆にキノコをたくさん食べると認知症の予防になるのでしょうか??

日本人を対象にしたコホート研究

これを調べたのが、2017年にJournal of the American Geriatrics Societyに報告された東北大学のグループの研究。[6]

被験者は日本の大崎市(宮城県)に住む65歳以上の13,230人。キノコの消費量と認知症の発生件数の関係を調べた前向きコホート研究です。

2006年からの5.7年の間に認知症を発症した人の割合は8.7%。

キノコを週に1回未満摂取する人と、1-2回摂取する人、3回以上摂取する人に分けて、ハザード比を比較した結果がこちら。

https://www.pbhealth.med.tohoku.ac.jp/node/1064

キノコの摂取量が週1回未満のグループを基準にすると、1-2回のグループでは発症リスクが5%低下3回以上のグループでは約20%低下することが分かりました。

ここから他の研究同様に、性別や年齢、喫煙、既往歴、飲酒、教育、ストレス、生活習慣などの交絡因子を差っ引いたり、追跡開始時にすでに物忘れがあると報告した参加者を除外したりして、できる限りキノコの摂取量の影響だけを抽出してみたところ、やはり同様の傾向がみられたとのこと。

この研究から、キノコの摂取量と認知症の発症リスク低下には有意に相関があるとの結論をまとめています。

つまり、キノコは認知症予防に効果がある可能性が高いということ。

どんなキノコにエルゴチオネインは多く含まれるのか?

では実際にどんなキノコや食品にエルゴチオネインは含まれているのでしょうか?

食品に含まれるエルゴチオネインの量はこちらの論文[7]で調査されています。

 

キノコ類で多く含まれるものを上から順に見てみると、ヤマドリタケ(Boletus edulis)、エリンギ(King Oyster)、ブナシメジ(Buna Shimeji)、シイタケ(Shiitake)、エノキ(Enoki)、メシマコブタケ(Willow)、あたりでしょうかね。

日本人には馴染みのあるキノコに多く含まれているようです。ただ何故かマイタケには少ない様子。

キノコ以外の野菜や果物を見てみると、にんにくが最も多くシイタケと同レベル。

それ以外の野菜果物はどれも似たり寄ったりといった感じ。

まとめ

様々な研究からキノコに含まれるエルゴチオネインは脳機能の老化を防ぐ可能性が高いことが示されています。

また、東北大の研究からキノコを多く食べることで、認知症の予防に効果がある可能性が示されています。

ありがたいことに、我々が普段よく口にするエリンギやシイタケ、エノキ、シメジなどに多く含まれているようなので、普段の食卓に積極的に取り入れることはそんなに難しいことではないですね。

子供のうちからキノコを積極的に食べる食習慣を作っておきたいところです。

sponsored link

Reference

[1]https://febs.onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1002/1873-3468.13123
[2]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22921351
[3]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24797165
[4]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27444382
[5]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27444382
[6]https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/jgs.14812
[7]https://febs.onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1002/1873-3468.13123

食品カテゴリの最新記事