サプリメントは必要か?不要か?

栄養不足を原因とする疾患を持つ人がサプリメントによって改善した例を目にする機会は多い一方、普通に健康な人が摂取し続ける場合の効果や弊害に関してはあまり取り上げられることはありません。

ビタミンサプリメントが健常者にとってどのような影響を及ぼすのかまとめてみます。

 

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ビタミンとは何か?

ビタミンとは簡単に言えば、私たち人間の体で合成することができず、特定の摂取量を必要とする栄養素のことをいいます。

しかし、ビタミンDやビタミンBなど一部のビタミンでは体内で合成することも可能です。このようなビタミンは発見された後に体内で合成可能であることが確認されています。

ビタミンには大きく分けて水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンの二種類が存在します。脂溶性ビタミンについてはDAKE(だけ)で覚えられます。それ以外のBCは水溶性です。

水溶性ビタミン

水溶性ビタミンには以下の種類が存在します。

  • B1(チアミン)
  • B2(リボフラビン)
  • B3(ナイアシン)
  • B5(パントテン酸)
  • B6(ピリドキシン)
  • B7(ビオチン)
  • B9(葉酸)
  • B12(シアノコバラミン)
  • ビタミンC(アスコルビン酸)

これらのビタミンは水に素早く溶け込み、身体に急速に取り込まれることが特徴です。

脂溶性ビタミンとは異なり、過剰な量の水溶性ビタミンは体内に保持することができず、腎臓から尿に含めて排泄します[]。

ビタミンCについては様々な議論があります。ライナス・ポーリングは1日に20gを摂取していたそうですが、イヌイットやマサイ族はほとんどビタミンCを摂取しないにも関わらず壊血病にもなりません[2]。

一方、ビタミンB群については動物性食品を避ける人にとっては不足しやすい栄養素だと言えそうです。特に菜食主義やヴィーガンではビタミンB12が不足しやすいことは良く知られています。[3,4]

脂溶性ビタミン

脂溶性ビタミンには次の4つがあります。

  • ビタミンA
  • ビタミンD
  • ビタミンE
  • ビタミンK

「だけ」と覚えれば、残りのBCが水溶性ビタミンであることも覚えられます。

脂溶性ビタミンは体内で長期保存が可能なため、過剰な摂取は身体にとって有害となる可能性があります。

しかし、食品から摂取している場合には過剰症について心配する必要はほとんどありません。過剰症に繋がるような脂溶性ビタミンの摂取は、ほとんどの場合サプリメントからのメガドーズに起因します。

 

ビタミンサプリメントは本当に必要なのか?

30-40代の日本人女性に対するアンケートでは現在過去を含めて52.4%の人が何かしらのサプリメントを継続的に服用しているという調査結果があります[5]。

緊急な場合を除いて、本来の栄養の改善は、肉、魚、野菜、ナッツ、果物のような栄養価の高い天然食品に置き換えられるべきであり、そういう食事をしていれば十分なビタミンを摂取できます。

しかし、現代人の多くは加工食品を摂取しすぎているという現実があります。このような高度に精製された食品では、ビタミンやミネラルなどの有益な栄養素が削ぎ落されてしまっています[6]。

加工食品で削ぎ落された栄養素を補完するためにサプリメントを服用しているとなると、おかしな話にも聞こえてきますが、問題はサプリメントで栄養を補完する場合、天然の食品から得られる栄養と同等の効果があるのかどうか?です。

 

サプリメントの無効性と有害性

サプリメントが安全か危険かという議論はあまり意味がありません。

例え精製された栄養素であっても、それが必要な人たちにとっては有益な場合もあるからです。また、個人の服用量や体調、サプリ以外の食事にも依存するので、一概に結論付けることはできません。

しかし、一般的な健康な人たちが長期にわたって摂取し続けることに関しては、あまり良い報告はありません[7,8]。このようなデータは、健康な人たちにおいては、ビタミンサプリメントによる恩恵はほとんどないことを示しています。

サプリメントを推奨する団体は、普通に健康な人たちでさえ栄養不足だという認識を植え付け、その上でポジティブなデータだけを紹介する傾向があるため、サプリメントに関するネガティブなデータは知られにくい現状があります。

ここでは、サプリメントに関する無効性や有害性を示した研究報告の一部をまとめてみたいと思います。

 

  • 135,976人を対象としたランダム化比較試験の結果、高容量ビタミンE(> 400IU / d以上)と死亡率は統計学的に有意であり、高容量ビタミンEサプリメントの服用は避けるべきと結論付けた[9]。
  • 14,461人を対象とした10年以上の前向きコホート研究の結果、マルチビタミンを毎日摂取しても心血管、MI、脳卒中、CVD死亡率は減少しなかった[10]。
  • がん患者に対する217件の無作為研究の系統的調査の結果、ビタミン、ミネラル、プロテイン、またはその他のサプリメントの使用は完全に無効であった[11]
  • ビタミンAの高容量の服用はガンのリスク増加(特に肺がん、胃がん)[12,13,14,15]
  • 29,133人の男性喫煙者を対象に実施された追跡調査では、βカロテンサプリメントを摂取していると肺がんリスクが16%増加[16]。
  • 77,000人を対象にした過去10年間のビタミンBサプリメント摂取についてのデータを調べた結果、ビタミンB6とB12の長期にわたる多量の摂取は男性の肺がんリスクを高める。特に喫煙習慣のある場合は、ビタミンB6で3倍、ビタミンB12で4倍[16]。
  • オメガ3とビタミンEが心臓発作の生存者に及ぼす影響を調べた調査では、オメガ3ではリスク低下ビタミンEでは無効[17].
  • 糖尿病患者に対するプラセボ対照無作為化比較試験の結果、ビタミンEサプリメントの摂取が心不全を増加させる[18].
  • 287,304人に対する統計データから、βカロテンによるビタミンAサプリメントによる死亡リスクは6%増加ビタミンAサプリメントではガンのリスクが16%増加[19]
  • ビタミンDには容量反応関係が存在する[20]

 

無効性や有害性が指摘されるビタミンサプリメントは、主にビタミンA、ビタミンE、ビタミンBの3つが取り上げられる傾向が高いようです。

 

抗酸化パラドックス

活性酸素の一つであるフリーラジカルは、ガンの発生を促進したり老化を促進したりすることで知られていますが、適度な量のフリーラジカルは細胞間のシグナル伝達免疫系などの正常な過程に関与していることが知られています[21]。

このようにフリーラジカルには良い面と悪い面の二面性があり、インスリンなどのホルモンと同様に過剰な場合にのみ有害性が発現します。

逆に過剰でないときに、抗酸化物質(ビタミンEやビタミンCなど)でフリーラジカルを枯渇させてしまうことは、正常な生体機能のバランスを崩す可能性さえあります。

フリーラジカルをはじめとする活性酸素は有害な面ばかりが取り上げらる傾向がありますが、身体にとって大事な役割を果たしていることも知っておく必要があります。

 

最後に

ビタミンサプリメントが有益かどうかについて結論を出すことはできませんが、サプリメント業界はマーケティング活動においてポジティブなデータばかり紹介する傾向があります。そのため、私たち消費者はネガティブなデータの存在を積極的に収集しておくことは重要なことだと考えます。

これら全ての情報を踏まえてサプリメントの是非を考える必要があります。

ただ、サプリメントのことについてあれこれ考える前に自然の食材を使った健康的な食事が最初に来るべきであることは間違いありません。

 

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Reference

The Dark Side of Supplementation: More Cancer and Heart Disease?