そもそも糖質制限で糖尿病は良くなるの?コントロールできるの?

そもそも糖質制限で糖尿病は良くなるの?コントロールできるの?

糖尿病患者の糖質制限

健常者が糖質制限を継続することの弊害については、このサイトでも何度か記事をアップしてきました。

糖質制限を「やる必要がない」というよりは「やるべきではない」というスタンスです。

ところで糖質制限はもともと糖尿病患者に対して始められた食事法ですが、実際のところ糖質制限を続けることで糖尿病はどれくらい良くなるのでしょうか?HbA1cは長期的にどのくらいコントロールできるのでしょうか?

その辺をがっつり調べたメタアナリシスがあったので紹介します。

sponsored link

糖尿病患者に対する短・長期の糖質制限の効果

コペンハーゲン大学のグループが2017年にBMJ Open Diabetes Research & Careに報告したメタアナリシスの結果を見てみたいと思います。[1]

糖尿病患者に糖質制限を実践させて長期的なHbA1cを調べた論文はたくさん報告されていますが、そのなかでも良質な10本を選定し、計1376人を対象としたランダム化比較試験を同定しました。

被験者の49%は男性で、全体の平均年齢は59歳。

低炭水化物(炭水化物の摂取エネルギー比率が45%以下)のグループと高炭水化物のグループに分類し、HbA1cの推移を比較しています。

下が食事介入から3ヶ月または6ヶ月後のHbA1cの結果。

低炭水化物グループのHbA1cは高炭水化物グループに比べて平均で0.34%低くなっていたことが分かります。

特に厳しい糖質制限(上二つ(Saslow 2014とTay 2014)はともに炭水化物の割合が14%で3ヶ月継続した後の結果)ではその効果が大きくなる傾向が見られます。

で、これらの関係をグラフにしたのが下のグラフ。

横軸が炭水化物の摂取量(エネルギー比)で、縦軸が高炭水化物グループとのHbA1cの差です。厳しい糖質制限(全エネルギーに対し炭水化物を14%)を行えば短期ではHbA1cがそれなりに低下することが分かります。

ちなみに横軸30%のラインにあるデータは、「ロカボ」推奨の山田悟医師の研究。

しかし、これが12か月後になると…。

ほとんど差が見られなくなります。低炭水化物グループも高炭水化物グループもほとんど同じHbA1cになってしまっています。

ただ、炭水化物の制限が最も厳しいDavisの論文でもエネルギー比率が33%ですから、断糖レベルの制限を継続すれば結果は変わってくるはずという反論も有り得なくはありません。

しかし、下のグラフを見ると事はそう簡単ではありません。

これは12か月の追跡調査期間中に、ドロップアウト(継続できなかった人)の割合を示したグラフです。

このグラフに関する論文のコメントを引用します。

Dropout rates at longest follow-up were similar in the two groups (figure 5). In trials with long follow-up, however, 16 22 dropout rates tended to be larger in the LCD groups. The dropout rates differed considerably between studies, ranging from 2% to 60% in the LCD groups and from 2% to 46% in the HCD groups.

トータルで見ると低炭水化物グループでは2%~60%、高炭水化物グループでは2%~46%の範囲でほとんど違いがないように見えるが、炭水化物の割合が低いグループではドロップアウトの割合が多くなる傾向があるとのこと。

要するに糖質制限はHbA1cの効果も認められないし、継続も困難な食事法であるというまとめになってます。

カラミ的まとめ

このメタアナリシスを見る限りでは、糖尿病患者が糖質制限でHbA1cを改善しようとする試みは短期的には奏功するが長期的には効果はなくなり継続することも困難な食事法であると言えます。糖尿病以前に人間は生まれながらに甘い物中毒ですから、継続が困難なのは予想できます。

確かに本やネットでの「糖質制限でHbA1cが下がった!」という記事の多くは数カ月単位であり長期的なデータは伏せられていることがほとんど。

炭水化物摂取量が最も低い14%レベルの食事を継続することができれば結果は変わってくるはずだという反論もあるかもしれませんが、35%程度でも継続が困難だと言われ、効果も見出されていない食事法を患者に勧めるような医師は何か別の思惑があるのではないかと勘繰ってしまいますね。

ただ、メタアナリシスでも5-10年レベルで結果が入れ替わることがありますからその辺は要観察です。

まあ、そもそもこんな論文を議論する以前に、日本の京都には世界でもほとんど例を見ないような糖尿病患者と長年糖質制限を実践してきた病院があるのですから、本当はそこの全データが出てくれば一発で答えは出るはずなんでしょうけど、それが全く出てこないということがある意味「答え」なんだろうなと個人的には思っています。

sponsored link

Reference

[1]https://www.adea.com.au/wp-content/uploads/2018/11/Low-CHO-diet-Snorgaard-BMJ-OPen-Diabetes-Research-and-Care-2017.pdf

ダイエットカテゴリの最新記事