エビデンスに基づいた糖代謝(耐糖能)を改善する8つの方法

エビデンスに基づいた糖代謝(耐糖能)を改善する8つの方法

耐糖能改善のための8つの方法

糖質制限やロカボな食事でダイエットが上手くいったり血糖コントロールができていたとしても、肝心の糖代謝が改善しているわけではありません。むしろ悪化していることの方が一般的です。

その典型的な例がいわゆる「糖質酔い」といわれる症状で、少しの糖質でも高血糖状態が長時間持続したり、追加インスリンが過剰に分泌されることによって低血糖の症状を呈したりすることもあります。

4年間炭水化物を一切取ってないというGACKTさんも、先日久しぶりにパンを食べたら激しい睡魔に襲われたとInstagramにアップされてました。

このような糖質酔いを経験すると、ますます糖質が危ない物だと考えてしまいます。

しかし、適切な方法で取り組めば耐糖能は改善させることが可能です。もっと言えば、それで糖尿病も完治させた人もいます(ここでの完治とは糖質を摂っても血糖値が正常範囲に収まること)。

ところで、日本人の100歳以上の高齢者のアンケート調査では、好きな食べ物ランキングの2位になんと「お菓子」が入ってます(1位は寿司)。

そのお菓子の中でも饅頭が一番人気。砂糖in炭水化物ですから、決して低糖質なものなんかじゃありません。

さらに78%の人が3食+おやつを食べていて、3食+おやつ2回(午前午後)を日常的に食べている人も全体の3割だそうです。

巷では果敢に糖質を減らすことが大事と言われている中で、なぜ100歳以上の老人はこんなに糖質を食べても健康なんでしょうか?

答えは簡単です。耐糖能が良いからです。

糖質を食べても速やかに体にエネルギーとして取り込まれ、常にエネルギーに満ち溢れる体質になっているからです。

糖質が悪かったんじゃないんです。糖質を処理できない身体が問題だったんです。

言いかえれば、日本人にとって健康に長寿をめざすためには、耐糖能向上に鍵があると考えることもできます。遠い島の山奥の先住民族に聞くよりも私たちの周りには世界で一番長寿な尊敬すべき証人がたくさん生きてます。

この記事では、様々なエビデンスを元に耐糖能を改善するにはどのように取り組めばよいのかをまとめました。改善にかかる時間は個人差があると思いますが、やるべきことはそんなに難しいことではないと思います。私自身も糖質制限(断糖)に取り組んでいた頃は、普通のご飯を食べただけで血糖値が200近くまで上昇していましたが、今では120から130前後に落ち着いています。

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0.糖質制限をやめる

耐糖能改善をするにあたってまず大前提となるのは、糖質制限やロカボ、ケトジェニックと言われるような炭水化物を減らし脂肪を増やすような食事法をやめることです。

耐糖能改善とは糖代謝を正常化させることを意味しますので、糖質がなければ耐糖能を改善することは絶対にできません。

まれに「断糖肉食を続けていたら耐糖能が上がった」という人もいますが、それはサッカーボールを使わずにサッカーが上手くなったと言ってるようなものですから、非常に信ぴょう性に乏しい話。

「いや私はサプリを飲んでるから改善してるはず」というのも、例えるなら綺麗な天然芝のグラウンドでボール無しで練習しているようなものですから、どんなにバックグラウンドが準備されていたとしても結局ボールを使って練習しない限りは何も始まりません。

どうしても糖質制限をしながら耐糖能を改善させるんだという方は、一度この記事をご覧になってから判断してください(どうぞお好きに笑)。

しかし、ただ糖質制限を止めるといっても最初は血糖値が爆上がりしてインスリンがダラダラ出続けて、その後低血糖になって昏睡状態に陥ることもあり得ます。上のGACKTさんの例がまさにそれです。

単に糖質を摂り始めれば耐糖能が改善するというものでもありませんので(世の中そんなに甘くはない笑)、実践するにあたっては必ず血糖値測定器を準備して行うことをお勧めします。

注意)以下の項目では、インスリン抵抗性、インスリン感受性、耐糖能、糖代謝という言葉を全てごちゃまぜで使っていますが、①インスリン抵抗性とは、インスリンがインスリン受容体に接合してシグナルを伝達する過程において障害が存在している状態、②インスリン感受性とは、逆にその障害がない状態、③耐糖能、糖代謝とは、インスリン抵抗性がなくグルコースの代謝全体が正常に行われている状態をイメージして書いています。が、基本的には文献に書かれてあった文面通りに使い分けていますので、若干違いが存在します。予めご了承ください。

1.食前の筋トレ

私が実際に取り組んだ中で最も効果を感じた方法です。

食前の筋トレとは空腹の状態(ファスティング中)で行う筋トレです。

食前に行うと何が良いのでしょうか?

簡単に言うと、細胞が持っているエネルギー(グリコーゲン)を使い切ることによって、細胞が糖質を取り込みやすくするというメカニズムを利用します。糖代謝の約7-8割が骨格筋で行われているので、ここを鍛えることによってグルコースの流れを改善します。

GLUT4をインスリン無しで出現させる

骨格筋の細胞が糖を取り込む経路には、インスリンを媒介するインスリン経路とインスリンを介しない非インスリン経路があります。

耐糖能異常(インスリン抵抗性)がある場合は、インスリンが作用しにくい、あるいは追加インスリンが遅れて出てくるので、耐糖能改善を安全に行うには始めは非インスリン経路で行う方がベターです。

http://www.tokushima-u.ac.jp/ier/english/research/facility.html

インスリン経路では、細胞の表面にあるインスリン受容体にインスリンが接合すると(図左上)、様々なシグナルを介して細胞の中からGLUT4というドアが細胞表面にやってきます。そこが入り口となってグルコースを細胞の中に取り込み始めます。

しかし、筋トレのような高強度な運動後は、細胞内部のATPが空っぽの状態になってしまうため、インスリンに関係なくGLUT4ドアが細胞膜表面まで上がってきてグルコースが入ってくるのを待っている状態になっています。

そうすると、インスリン抵抗性を持っていても糖を細胞内に取り込むことができるので、糖代謝を鍛えることが可能になるというわけです。

Diabetes Metab Syndr Obesに掲載されている介入試験によると、糖尿病患者だろうと健常者だろうと、1回たった5-20分の高強度の運動によって、1-3日間血糖値がコントロールされたと報告されています(1)。2型糖尿病患者の2週間のプログラムでは、運動後48時間から72時間で平均血糖値が13%低下し、GLUT4の出現も369%増加したとのこと。

実際にやってみると分かりますが、何よりも即効性がすごいんです。まるでスーパーマリオのスターをゲットしたときのように完全にボーナスステージ。糖質を食べても血糖値は上がらないし食後眠くなることも全くありません。

また、別の試験によれば、8カ月の運動プログラム終了後、インスリン感受性を維持したのは高強度の運動プログラムに参加したメンバーのみであって、低・中強度の運動プログラムの参加者では確認されなかったと報告されています(2)。

改善した耐糖能を維持するという面においても強度の高い運動が有効だと言えます。

したがって、筋トレをするにしてもオールアウトまでしっかりやる必要があります。また、筋トレでなくてもオールアウトできれば(グリコーゲンを空っぽにできれば)それでも構わない可能性もあります。

個人的な感想をいうと、筋肉増大の結果耐糖能が改善するというよりも、ATP枯渇→グリコーゲン補充のサイクルを繰り返すことで耐糖能が向上しているようなイメージも持っています。

2.食後の有酸素運動

食後はインスリンが分泌されているので、身体は同化モードに入っています。筋トレのような高強度の運動はATPを産生して分解するという異化モードに入っていますので、これらを同時に行うことはできません。

食後の運動が有効なのは、上がりそうな血糖値を速やかに下げるという効果です。

ある実験では、1日3回同じ食事が与えられ毎日1回の食事後は6時間ベッドに横たわり、残りの2回はウォーキングをするように指示されました(3)。参加者が歩いた距離は一日平均3-4マイル。

糖尿病でない健常者が食後ウォーキングした場合、血糖値の上昇は50mgであったのに対し、ベッドに横たわった場合は100mgの上昇だったのだそう。1型糖尿病患者においても、ベッドに横たわった場合は150㎎の上昇であったのに対し、ウォーキングをした場合は80㎎の上昇にとどまったとのこと。

また別の実験でも食後の運動によって有意に血糖値の上昇が抑制されていることが分かります(4)。

食後の有酸素運動(ヨガや軽いウォーキングなど)はグルコースを速やかに細胞内に送り込んでくれている可能性がありますが、長期的に耐糖能がどこまで改善できるのかについては、エビデンスはあまりないようです。

3.腸内細菌叢の改善

腸内細菌は難消化性糖質を発酵させて短鎖脂肪酸を作り出します。この短鎖脂肪酸が糖代謝を調節するGLP-1を含むいくつかの腸ホルモンの分泌の調節に関与していると言われています(5)。

GLP-1は膵臓のβ細胞に働きかけ、インスリン分泌を促します。したがって追加インスリンが正常に分泌されるためにはGLP-1が必要で、GLP-1が正常に分泌されるには腸内細菌叢が短鎖脂肪酸を作り出すことが重要であると言えます。

マウスにプロバイオティクス(VSL#3(6))を処方したところ、腸内細菌叢の組成変化によってGLP-1ホルモンの分泌が促進され、インスリン抵抗性と耐糖能の改善が見られたとの報告があります(7)。

逆に、腸内細菌叢の乱れが血糖コントール不良に繋がるという研究も多数報告されています(8)。

ただ、我が家も経験しましたが、腸内環境に良かれと思って自家製の発酵食品を摂りすぎてしまって逆に悪化したという話もよく聞きます。そういう場合は発酵食品よりも水溶性食物繊維を多く含む食品を積極的に摂る方が効果的だと思っています。

我が家が使った中で効果を感じたのは黒ニンニクです。このおかげで家族のうんこがかっこよくなりました笑

もう一つは、短鎖脂肪酸を多く含む酢(酢酸)の料理やヨーグルト(乳酸)を食事の最初に摂ることも効果的だと言われてます。腸内細菌が乱れていても、これらの短鎖脂肪酸の刺激によりGLP-1の分泌を促し、追加インスリンが分泌されやすい状態をつっくておくことができると考えられます(9)。

そこに着目して糖尿病を完治させた方もいらっしゃいます。

我が家は夫婦でこちらのアップルサイダービネガーを朝食前に少しだけ摂るようにしています。

腸内細菌叢の改善は多様性が減っていると言われる私たち現代人にとって大きな課題ですが、自分と相性の良い発酵食品やプロバイオティクスサプリ、あるいはプレバイオティクスである食物繊維を多く含む食品を見つけ出して、しっかりと意識しながら改善していくことは耐糖能の改善に大きく役立つ思われます(10)。

4.糖代謝に必要なビタミン・ミネラル

糖代謝に必要なビタミンやミネラルがそもそも不足していると、糖が正常に代謝されなくなってしまいます。

1983年から2011年までのPudMedデータベースから得られたデータをもとに調査した結果から、特に亜鉛、マグネシウム、ビタミンDの欠乏がグルコース代謝不良に強く関わっていることが明らかになっています(11)。

また一般的に知られている糖代謝に必要なビタミン・ミネラルには、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5、ビタミンB6、マンガンなどがあります(12)。

これらを多く含む食材やサプリメントなどによって補うことは、耐糖能の改善に有効であると考えられます。

私もおまじない的にマグネシウムだけ飲んでいます。

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ちなみにいつもTHORNEのマグネシウムを選んでいるのは、単にTHORNEパッケージが可愛いからです笑 それ以外の理由は特にありません。(上の商品も現物はもっと可愛いデザインに変更されています)

5.PUFAフリー&果糖摂取

日本では崎谷博征先生が提唱されている食事法の一つで、あまり聞きなれない言葉ですが英語でPUFA freeと検索するとかなりのサイトがヒットします。

PUFAフリーに関する詳細は下記2冊の崎谷先生の著書に譲りますが、ここではその説を簡単に紹介します。

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PUFAとは不飽和脂肪酸のことで、食品として身近なものにはオメガ3やオメガ6とよばれる脂肪酸がそれに当たります。

これらの脂肪酸は一部が二重結合をしていて非常に酸化されやすい性質を持っています。特にオメガ3(フィッシュオイル、亜麻仁油など)は酸化しやすいため、加熱料理に使っていけないと言われます。酸化された油はアルデヒド(過酸化脂質)という猛毒物質に変わってしまうからです。

議論の的になっているのは、これらが酸化していない状態で摂取したとしても体内でアルデヒドが生成されてしまう可能性があるということです。

そしてこのアルデヒドは糖代謝をブロックするだけでなく、ガンや脳・心臓疾患、自己免疫疾患、自閉症、アルツハイマー型認知症など様々な疾患の原因となってしまうと言われています。

実際に胃や腸を再現した試験管の中での実験では、オメガ3(タラ肝油)は酸化されてしまうことが示唆されています(13)。体内では絶対に酸化が起こらないとは言い切れないと考えられます。

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PUFAは、糖代謝の過程でピルビン酸からアセチルCoAに変換される際に必要なピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体(PDC)の働きを阻害する可能性あることが指摘されています(14)。PDCが阻害されるとGLUT4から細胞内にグルコースが取り込まれたとしても、ミトコンドリアの中に入っていくことができず、細胞内で乳酸が蓄積していきます。その乳酸が再びPDCの働きを阻害してますます糖代謝が滞ってしまうことになります(15)。

つまりインスリン抵抗性が改善して(インスリン受容体にインスリンが接合してGLUT4が正常に機能する)、細胞内にグルコースが取り込まれたとしても中で代謝が停滞してしまうと、再び血液中にグルコースが舞い戻ってきてしまいます。これが一般的に言われる「血糖コントロールが悪い」という状態として観察されているのだそうです。

この逆流の状態を大阪の池澤孝雄先生が実際に観察した結果をFacebookに投稿されていて非常に興味深く見ておりました。

2.食後の有酸素運動のところで引用した論文のグラフでも、運動したグループの血糖値のグラフでは150分後に再び血糖値が上昇している様子が確認できます。運動によって一旦は(強制的に)細胞内に取り込まれたものの、中で代謝されず再び血液中に放出されたと見ることもできなくはありません。

PDCの働きが阻害された状態でどのようにしてミトコンドリアに送り込んでいけばよいのでしょうか?ここで崎谷先生が提案されているのが果糖(フルクトース)です。果糖はPDCの働きを回避してミトコンドリアに取り込まれるのだそうです。

酸化したPUFAはもちろん、酸化していないPUFAをできるだけ体内に取り込まないようにすること、そして果糖を摂取することで徐々に糖代謝の機能を回復するというのがこれらの本で述べられていることです。

6.飽和脂肪酸&オメガ6を控える

一方でアメリカや日本などの先進国が推奨する糖尿病患者への食事法では、飽和脂肪酸を極力避けるよう指示されています。その理由としては、飽和脂肪酸こそがインスリン抵抗性の原因だとされているからです(16, 17, 18, 19, 20)。まあ最も昔から言われている定説の一つです。

ラットに高脂肪食を摂取させると脂肪組織でTNF-αというサイトカインが増加しますが(21)、ヒトの血中インスリン値はこのTNF-αの発現量とほぼ比例することが分かっています(22)。一方、TNF-αを人為的に欠損させたマウスでは、高脂肪食を摂取させると体重は増えるもののインスリン抵抗性は全く発現しないことも分かっています(23)。

これらのことから、TNF-αの発現がインスリン抵抗性に大きく関与していることが示唆されています。

筋肉細胞においても中性脂肪蓄積量が多いほどインスリン感受性が低下することが示されています(24)。

先ほどの図でいうと、インスリン受容体(Insulin receptor)からGLUT4までに至るシグナル伝達(Signal transduction)のどこかがブロックされていると考えられています。

そしてこのようなメカニズムによるインスリン抵抗性の出現は、主に飽和脂肪酸とリノール酸(オメガ6)の摂取によって起こると考えられています(25, 26)。一方でオメガ3は耐糖能を悪化させないとのこと。

また、こちらの研究報告によれば(27)、以下のように書かれています。

  1. 牛脂食摂取により褐色脂肪組織および膵臓の交感神経活性が低下することで、DIT(食事誘発性熱生産)が低下し血清インスリン濃度が上昇する
  2. 脂肪組織の交感神経活性の低下により脂肪分解能が低下する
  3. 褐色脂肪組織、心臓、筋肉の交感神経活性の低下によりLPL(リポ蛋白リパーゼ活性)が低下し血清中性脂肪の取り込みが減少する
  4. 肝臓の交感神経活性の低下によりアセチルCoAアルボキシラーゼ活性が上昇し、脂肪合成能が上昇する
  5. 末梢組織の交感神経活性低下には、視床下部と大脳皮質のノルエビネフリン代謝回転速度の低下と組織の膜流動性低下によるβアドレナリンレセプター結合能低下が関与している

簡単にまとめると、飽和脂肪酸を摂取すればインスリン濃度が上昇し脂肪分解が停滞し益々脂肪の合成が亢進していくという悪循環に陥ってしまうとのこと。

逆に、この報告では不飽和脂肪酸の摂取量は体脂肪量蓄積量とは逆相関にあると報告されています。この辺の研究はまだまだ議論が色々あります。

先のPUFAフリーと合わせて考えると矛盾が生じているようにも見えますが、ここでの議論はインスリンシグナル伝達の部分であり、代謝経路におけるブロックと分けて考えることもできます。

無理やりまとめるとするなら(まとめる意味があるのかわかりませんが…笑)、1.飽和脂肪酸は全体的に減らし、2.リノール酸(オメガ6)の過剰摂取には気を付けてオメガ3を意識しながら、3.不飽和脂肪酸も全体的には減らす方向、となるのでしょうか。

大事なことは、自分の血糖値変化を見ながらどこがブロックされているのかを把握することではないかと思います。その結果次第で、どの脂肪酸を控えるようにすべきなのか見えてくるのではないかと思います。

7.睡眠

睡眠とインスリン感受性の関連性を示す論文は多く存在します。(28

一週間だけ5時間の睡眠制限を行うと、それだけでインスリン感受性が有意に低下したり(29)、それどころかたった一晩だけ4時間睡眠をさせただけでも、インスリン抵抗性が有意に上昇したという報告もあります(30)。

睡眠とインスリン抵抗性の関係を説明する詳しいメカニズムはまだよく分かっていないようですが、自律神経や様々なホルモン分泌の変化が影響を与えていることが考えられています(31, 32, 33)。

論文から導き出される正常な睡眠時間は7時間以上とされていることが多いようです。「極論で語る睡眠医学」の著者河合真医師も7時間未満は睡眠不足と言い切っています。

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また、睡眠の改善にはマグネシウムの摂取が有効であると言われています。

ほかにも寝る前にスマホを見ないようにする、入浴のタイミングや温度を変えてみる等、入眠の前に気を付けておくことを一通り把握しておくと良いと思います。

8.間欠的ファスティング

一般的にファスティング時間が長くなるとGLUT4発現量が減少するので、そのあとの食事では血糖値が上昇しやすくなります。そのため、耐糖能改善とは一見逆のことをやっているように見えます。

しかし、ファスティングにはオートファジーという自食作用やアポトーシス(プログラム細胞死)を促進させる働きがあります。

実は、体内に蓄積した重元素(水銀、鉛、カドミウムなど)とインスリン抵抗性には相関があると言われています(34)。

中国で行われた2242人を対象とした調査では、亜鉛、セレン、ルビジウム、ストロンチウム、モリブデン、カドミウム、アンチモン、バリウム、タングステンおよび鉛の蓄積が、空腹時血糖値と糖尿病のリスクと関連していたことが明らかになっています(35)。

そこでファスティングで活性化するオートファジーやアポトーシスを利用して、蓄積したこれらの重元素を自然に解毒できる可能性があるというわけです。

25歳から58歳の健康な男性40人を対象にラマダン期間の前後で重金属の蓄積量を調べたところ(毛髪検査)、ラマダン終了後には鉛、カドミウム、水銀、アルミニウムおよびマンガンレベルが有意に減少したことが明らかになっています(36)。

ラマダンでの断食は日の出から日没までの間ですので、平均的には一日約12時間くらいの断食に相当します。私たちの生活に取り込むなら夜7時に夕食を食べて朝7時に朝食を食べるという生活を守るだけでも効果は期待できることになります。

またアポトーシスを誘発させれば、先に挙げたインスリンシグナルやグルコース代謝をブロックしている脂肪酸を分解することも可能になると考えられます。

まとめ

様々なエビデンスを元に耐糖能改善にどう取り組めばよいのかまとめてみました。

いろいろ細かいこと書いてきましたが、よく読んでいただければわかる通り、実際のところ人として普通の生活習慣を正しましょうと言っているにすぎません。食事の前後はしっかり仕事して(1、2)、適切な栄養をとって(3,4)、正しい物をきちんと食べて(5,6)、ちゃんと寝て(7)、ダラダラ食べ続けない(8)。

逆に言えば、きちんと生活すれば耐糖能もきちんと機能するようになっているんだと思います。

糖質制限を支持するグループでは、仮に一時的に耐糖能が低下しても「膵臓は休止している状態でいつでも準備万端である」という江部康二先生の言葉が信じられていますが、残念ながらこれを支持するエビデンスは存在しません。

むしろ、糖質制限では様々なメカニズムによって耐糖能が低下していくエビデンスは多数存在します。筋肉を使わなければ筋肉が落ちていくのと同様に、内臓の機能も使わなければ落ちていくことは容易に予想できます。

私自身も上の8つをいろいろ試行錯誤しながら取り組んで、耐糖能が改善するまで約半年近くかかりました。膵臓が休んでいただけとは思えず、明らかに廃業してましたとしか考えられません笑

糖質制限とかロカボのようにただ炭水化物を減らすのではなくて、普通の食事で生きていけるように耐糖能改善に取り組んでいく方が真っ当だと今は思っています。

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Reference

[1] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3587394/
[2] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2698641/
[3] https://www.webmd.com/diabetes/news/20110627/exercise-after-meals-helps-control-blood-sugar#1
[4] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5610683/
[5] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23128767
[6] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16903771
[7] http://www.dm-net.co.jp/calendar/2017/027617.php
[8] http://www.dm-net.co.jp/calendar/2017/027617.php
[9] https://style.nikkei.com/article/DGXMZO27919560Z00C18A3000000?channel=DF260120166503
[10] https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2212826313000225
[11] http://www.nanotechnologystore.com/(14)The-role-of-vitamins-and-minerals-in-energy-metabolism-and-well-being.pdf
[12] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/22746365/#fft
[13] https://saitokarami.com/where-does-food-preference-of-kids-come-from/
[14] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16517405
[15] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15297079
[16] http://circ.ahajournals.org/content/circulationaha/84/5/2020.full.pdf
[17] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28112681
[18] https://www.cell.com/cell-metabolism/fulltext/S1550-4131(14)00210-1?_returnURL=https%3A%2F%2Flinkinghub.elsevier.com%2Fretrieve%2Fpii%2FS1550413114002101%3Fshowall%3Dtrue
[19] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11874924
[20] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9348192
[21] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10395191
[22] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9335502
[23] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9166669
[24] https://www.jci.org/articles/view/89444
[25] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8969289
[26] https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnfs1983/56/6/56_6_379/_pdf
[27] https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnfs1983/56/6/56_6_379/_pdf
[28] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2927933/
[29] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20371664
[30] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25248582
[31] https://www.diabetesselfmanagement.com/blog/sleep-well-to-avoid-insulin-resistance-study-suggests/
[32] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3767932/
[33] http://www.diabetesandenvironment.org/home/contam/metals
[34] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25874871
[35] https://www.researchgate.net/publication/278022873_Effect_of_intermittent_fasting_on_heavy_metal_detoxification

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