子供の食べ物の好き嫌い・偏食を克服するために親がやるべき4つのこと

子供の食べ物の好き嫌い・偏食を克服するために親がやるべき4つのこと

子供の食べ物の偏食や好き嫌いを克服する方法

以前の記事で、子供の好き嫌いや偏食の原因について解説しました。

今回は子供の好き嫌いや偏食を改善するために、親は具体的にどのように取り組んでいけばよいのか、さまざまな研究結果をもとに4つにまとめました。

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子供の好き嫌いや偏食は矯正すべき?

そもそもですが、子供の好き嫌いや偏食は矯正すべきなのでしょうか?

栄養不足への懸念

子供の好き嫌い・偏食は、子供自身が必要な栄養素を選んでいるから放っておいても構わないとする専門家もいて、偏食を矯正する必要はないという主張も根強く残っています。[1] また、イチロー選手や中田英寿選手のようなスーパーアスリートが野菜を食べない偏食家であることも有名で、一概に偏食が良くないとは言いきれないのも事実。[2]

しかし前回の記事でも解説した通り、子供が自分に必要な栄養素を選択しているという説はクララデイビスの実験に基づいており、その後の研究では子供には自分に必要な栄養素を選択する能力はないことが分かっています。

好き嫌いや偏食を放っておけば、成長遅延のリスクが高くなることも示唆されています。[3]

幼少期の食習慣が大人になってからの幸福度と関連する?

子どもの頃の食事が大人になってからの食生活や幸福度に関連するという調査結果もあります。

ベルギーのアントワープ大学の調査によると2歳の時の食習慣が20歳の時の食習慣に極めて決定的な影響を及ぼすことが分かっており(特に朝食と夕食)[4]、さらにイギリスのリバプールジョンムーア大学の調査では幼少期に野菜や果物を満遍なく食べる食習慣で育った人は大人になってからの幸福度が有意に高まったという報告もあります。[5]

子供の好き嫌いや偏食についてはこのように様々な議論がありますので、お子さんの偏食に対して取り組んでいく際の参考になればと思います。

好き嫌いや偏食の本当の原因とは?

過去の記事で子どもの好き嫌い・偏食の原因について解説しましたので詳細は下の記事を参照ください。

簡単にまとめると以下のようになります。

  1. 子どもには自分に必要な栄養素を選択する能力はない
  2. 好き嫌い・偏食の原因は遺伝的要因と環境・経験的要因がある
  3. 野菜や果物に関しては遺伝的要因が関係している
  4. それ以外の食品は環境的・経験的要因が強く関係している
  5. しかし年齢を重ねるにつれて遺伝的要因は弱くなりほとんどは環境・経験的要因によって決定されるようになる
  6. 視覚による情報も好き嫌い・偏食に影響を与える
  7. 遺伝的要因は妊娠中に母親が食べたものに強く影響される
  8. 嘔吐の経験が嫌いな食べ物を形成する
  9. 亜鉛やマグネシウム不足による味覚異常

現代の心理学や小児栄養学では、子供の好き嫌いや偏食の形成のほとんどは環境・経験的要因によって決定されていると考えられています。

逆に言えば、環境・経験を変えることによって偏食は改善することが可能です。

偏食を改善するには?

実際に偏食を改善するにはどうしたらよいのでしょうか?

嫌いな食品を出す方が良いの?出さない方が良いの?

ロンドンの3つの小学校で行われた49人の子供達を対象にした研究[6]では、子供達が嫌いな野菜(赤ピーマン)を食べられるようにするために、二つのグループに分けそれぞれ別の方法で2週間取り組むように指示されまた。

一つのグループは赤ピーマンを食べたら漫画のシールを貰えるという方法(報酬グループ)で、もう一つのグループは赤ピーマンを料理に使う回数(曝露回数)を増やすという方法(曝露グループ)。そして、コントロールグループでは今まで通り過ごしてもらいました。

その結果、曝露回数を増やしたグループはコントロールグループと比べて赤ピーマンを食べられるようになった、あるいは好きになった子供が有意に多くなったとのこと(liking (P=0.006) and consumption (P=0.03))。

一方、報酬グループは曝露グループとコントロールグループの中間にあったとのこと。

この結果は、嫌いな食べ物であっても積極的に食卓に出し続けることは子ども達の偏食や好き嫌いを改善することを示しています。

同様に、アリゾナ州立大学の大学生670人を対象にした調査でも似たような結果が得られています。[7]

大学生になってからも野菜などの栄養価の高い食品を好んで食べる人は幼少期の親の励ましと、嫌いな食べ物であっても食卓に並んでいたことと正の相関関係がありました。

一方で、親が強制的に食べさせたり逆に子供が食べないからと言ってその食材をあまり使わないようにすることは、大人になってもその食品に対する嫌悪感が残っていることがわかりました。

これらの結果は、子どもが食べる食べないにかかわらず、積極的にその食材を使うことが子どもの好き嫌いや偏食を改善することを示しており、逆に嫌いな食べ物の消極的な消費と親の過剰な介入(「全部食べなさい」「一口だけでも食べなさい」など)が偏食をさらに強調していく可能性が高いことを示しています。

子供の偏食を改善するために親がやるべき4つのこと

具体的に親は子供の好き嫌いや偏食にどのように取り組んでいくべきなのか4つにまとめます。

1.食べなくても苦手な食材を提供し続ける

頻繁にその食材を使うことが、偏食を改善する最も効果的で最も簡単な方法であることを多くのエビデンスが示しています。[6][7]

今日は食べた、昨日は食べなかったという結果に一喜一憂せずに、いつか食べれるようになると信じて長期戦でとりくむことが大事。

しかし、年齢を重ねるつれて好き嫌いや偏食は改善が困難になってきます。小学校高学年以上になると新しい味を受け入れやすい期間が終了するため、さらに時間がかかることも理解しておく必要があります。[8]

2.食べる食べないは本人の意思を尊重する

ペンシルベニア州で行われたある実験によると、親が「スープを全部飲みなさい」という声掛けを11週間にわたって行ったところ、当初はそうでもなかった子ども達でさえストレスを感じるようになり、結果的に実験開始前の好き嫌いに関わらずみんなスープを飲みたがらなくなったとのこと。[9]

親が「全部食べなさい」「一口だけでも食べなさい」などと言ってストレスを与えると逆にますます食べなくなるというのは、心理学の用語でブーメラン効果とよばれますが、自分の選択的自由が外部から脅かされた時に生じる心理的リアクタンスから生まれると考えられています。

また、このように親が食べることを強制すると、空腹感と満腹感を子供自身が正常に判断することができなくなり、結果的に肥満になりやすくなると言われています。[10]

私も毎日朝ごはんを作っているので、食べてくれなかったりすると少なからず残念な気持ちになりますが、「じゃあお父さんが食べるね」といって美味しそうに食べるようにしています。

3.食べ物で報酬を与えない

これはついついやってしまいがちですが、食べ物で苦手な食べ物を釣らないことはとても重要です。

例えば、「リンゴはご飯を全部食べてから食べなさい」とか「ブロッコリーをちゃんと食べたらお菓子食べていいよ」など、恐らく多くの親が一度や二度言ったことがあるのではないでしょうか。これは過正当化効果とよび、子供達はますますその野菜が嫌いになっていく傾向があります。[11]

このようにデザートやお菓子などの食べ物で報酬を与える習慣をつけると、自分の負の感情を対処するために食事をするという習慣を意図せずに教えていることになります。

どういうことかというと、(苦手なものを食べるという)ストレスの先に甘いご褒美があるという脳の回路が強化されることにより、社会に出てからストレスを感じた時に食べ物でリカバリーするようになってしまうというわけです。

ストレス→ご褒美(甘い物)が繰り返し行われ、次第に自己嫌悪に陥るようになると最悪の場合摂食障害に繋がったりします。[12]

ただし例外はあって、食べ物以外(例えばシールなど)だと上手くいく場合もあるようです。

これはロンドン大学の心理学者ルーシー・クック博士が考案した「Tiny Tastes」の研究の一部で、子ども達が苦手な食品を一口でも食べたら食品以外のご褒美を与えると子ども達はその食品を食べれるようになり、どんどんその食品を好むようになるという研究結果があります。[13]

子どもがまだ小さいうちはこの方法も有効なのかもしれません。

4.苦手な食べ物を食べれるようになっても褒めない

子供が嫌いな食べ物を初めて食べた時、親はつい「○○ちゃんすごーい、食べれたじゃーん!」と褒めてしまいがち。これは一見問題なさそうにも思えるのですが、実は2の食べないと叱るの裏返しでもあります。

結局、子供はお母さんやお父さんを喜ばせるために食べるように努力し、そのプレッシャーを常に感じながら苦手な食べ物を食べるようになります。[14]

残さず食べた時にも「全部食べて偉いね!」などとつい言ってしまいがちですが、クリーンプレートクラブは肥満を引き起こすが分かっており[15]、親が子供の食事に過剰に介入することによって結果的に満腹感の正常な判断を鈍らせることにも繋がることが分かっています。[16]

嫌いな食べ物が食べれるようになることは偉いことでもないし、出されたものを全部たべることも何も偉いことではないし、またいっぱい食べることが偉いわけでもないという認識をもって取り組むことが重要です。

では嫌いな食べ物を食べれるようになった時、子供に何と言えばいいのでしょうか?

「ね?美味しいでしょ?」

これでOKです。

これで誰からのプレッシャーも感じずに次も自分から食べるようになります。

好き嫌いや偏食を予防する離乳食・補完食の方法

もしこれから離乳食や補完食を始めるというのであれば、好き嫌いや偏食を予防することも可能です。

子どもの食の嗜好というのは、年齢を重ねるごとに遺伝よりも環境的・経験的要因の方が強くなってくるため、できるだけ早い段階でいろんな食材の経験をさせておくことが偏食を防ぐ方法として最も有効です。

実は生後4カ月から7カ月くらいの間にいろんな食材を受け入れやすい期間があると言われていて、この期間にできるだけたくさんの食材を経験させておくと、後々偏食になりにくいという調査報告があります。[16][17]

この期間を過ぎてから新しい食材を経験させようとすると拒否する割合が高くなるとのこと。乳幼児期に摂れなかった野菜や果物は、6歳になってもやはり食べれないという調査もあります。[18]

それでも4歳くらいまでは新しい味を受け入れやすい期間が続くようですが、それ以上になると難しくなってくることが示唆されています。[19]

身近な食材はできるだけ早いうちにたくさん経験させておくことが、のちのち好き嫌いや偏食になりにくくなると言えそうです。

ただし、4カ月以前から離乳食・補完食を開始すると、小児期の肥満のリスクが高くなるというメタアナリシスもありますので[20]、早ければ早いほど良いというものでもないようです。

また4カ月から離乳食・補完食を始めるというとアレルギーが心配だという話も出てきますが、この辺りは堀向先生の二重抗原曝露仮説の記事を参考にしてもらえればと思います。

妊娠中・授乳中に子供の偏食を予防する方法

妊婦にニンニクカプセルを飲ませると、45分後には羊水からニンニクが検出されたり[21]、妊娠中・授乳中にニンジンジュースばかりのんでいると、その子供はニンジン味を好むようになったり[22]、いろんな研究から妊娠中・授乳中のお母さんの食習慣が、子どもの食べ物の好き嫌いに影響を与えることが分かっています。

お母さんが妊娠中にいろんな食材を積極的に食べるようにすることが、子どもの偏食や好き嫌いを予防することに繋がると考えられています。[23]

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我が家の例

ここからは我が家の例を少し紹介したいと思います。

我が家の場合は、息子はほとんど好き嫌いはありませんでしたが、娘が少し野菜に苦手意識がありました。

また、ある時期に二人とも味噌汁が苦手になるという不可解な好き嫌いを乗り越えてきました笑

1.食べる人が大げさに美味しいという

これは我が家で最も効果のあった方法だと思います。

まず、お母さんが料理を作ってお父さんと子ども達がその料理を食べる場合を想定します。

やり方は簡単で、子供達が嫌いな食べ物をお父さんが食べるときに「これ美味いなー」と大げさに言いながら食べるという方法です。

これだけです笑

目の前で美味い美味い言いながら食べてる人を見ると、子供達もその食品に興味を持ち始めて「ちょっと食べてみようかな?」という気持ちが芽生えてくるようで、ある日を境に食べ始めます。

ただし、料理を作ったお母さんが「美味しいから食べてみてよ」と言っても、「美味いの押し売り」となってしまいあまり効かないようです。少なくともうちの子供達には効きませんでした笑

この方法は別にお父さんである必要は全くなく、仲のいい友達でも良く効きます。

多分、保育園や幼稚園で友達と一緒だと嫌いな食べ物も普通に食べれたという経験をしたことがある方も多いはず。あれを家で実践しようという方法です。(こういう場面に遭遇しても決して「すごーい食べれたじゃーん」とは言わないことが大事)

あるいは子どもが小さければお気に入りのぬいぐるみでも。

2.嫌いな食材を使って子どもと一緒に料理をする

子供がある程度大きくなれば、料理を一緒にすることによって食材のありがたみや愛着が芽生え、好き嫌いを克服することも可能です。1と組みあわせると尚効果あり。

さらに食材を買うときにも子どもに選ばせたりすると、その食材への関心が高まります。そのうえでお父さんが「○○ちゃんが選んだ○○は本当においしい」と言えば子供もご満悦。

3.家庭菜園で実際に作ってみる

ベランダや庭などのスペースがあれば、実際にその野菜を一緒に育ててみるのも関心が高まります。うちの子ども達は幼稚園でパプリカを栽培し実際に料理をするという授業があって、そのおかげかやたらとパプリカを好むようになりました。

もしかすると「嫌い」から一気に「好き」に向かうくらいの破壊力があるかもしれません。

4.「お母さんの味噌汁は世界一美味しい」

やってることは1と同じですが、味噌汁苦手ブームは私がこれを言い続けたことによって終了しました。

それどころか、友達のお母さんにも「うちのお母さんの味噌汁は世界一美味しいんだよ」と言いふらすまでになり、うちの奥さんから私に「恥ずかしいからもう止めてくれ」と苦情が入るまでに…笑

ほどほどに。

5.動物にあげる

これも厳密には1と同じですが、以前キャンプに行ったときにウサギに野菜をあげれる施設があって、それを一緒に見ながら「ウサギさんは野菜を美味しそうに食べるねえ」とずっと言ってたら、キャンプから帰ってきて娘が葉野菜をむしゃむしゃ食べるようになりました。

それこそまるでウサギのようにむしゃむしゃと笑

6.お母さん好き(お父さん好き)を利用する

お母さんのことが大好きなら、お父さんが「お母さんは○○(嫌いな食材)を食べたからこんなに可愛いんだよ」とか、お父さんが好きならお母さんが「お父さんは○○を食べたからこんなに背が高くなったんだよ」とかターゲットの食材と結びつけて話してみます。

ただ、無理していっぱい食べようとしてないか見極める必要もある。

7.その食材の栄養や利点を子どもの視点で説明する

例えば、味噌の効能を「お腹の中を掃除してくれる」「そしたら肌もつるつるになる」みたいな感じで、子供でもイメージしやすいように話してあげます。ケールやホウレン草だと「頭が良くなるんだよ」とか。

決して「食べないと○○になるよ」と言って脅すのではなく、利点を話してあげるようにします。

それで食べたら「あれ?ちょっと肌きれいになったんじゃない?」とか言ってみたり笑

まとめ

子供の好き嫌いや偏食の改善方法についてまとめました。

最後は我が家のしょうもない話を長々と書いてしまいましたが笑、基本はこの4つに集約されます。

  1. 食べなくても苦手な食材を提供し続ける
  2. 食べる食べないは本人の意思を尊重する
  3. 食べ物の報酬で釣らない。(ただし、食べ物以外の報酬はOK)
  4. 苦手な食べ物を食べれるようになっても褒めない

子供の好き嫌いや偏食を絶対改善しよう!と意気込んでやるよりは、毎日の食卓をみんなで楽しく、美味しく食べれるようにするためにはどうすればよいか?というような軽い気持ちで取り組むと親もストレスなく続けられるのではないかと思います。

過度に心配せず、かといって放置せず、気長に取り組むことが結果的には良い結果につながるように思っています。

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