血糖値スパイクよりも「あの反応」が遅い人が将来糖尿病になりやすい

血糖値スパイクよりも「あの反応」が遅い人が将来糖尿病になりやすい

少し本業が忙しくてご無沙汰になりました。

今回は久しぶりに糖尿病の話題を。

二型糖尿病とは、インスリン抵抗性と膵臓β細胞機能不全のどちらか、あるいは両方が起こることを特徴とする疾患です。

糖尿病を発症する前の耐糖能低下を示す兆候にはいろんな症状が知られていますが、これらが糖尿病発症と直接関連しているわけではありません。

しかし、ある反応がやたら遅い人は、将来糖尿病が発症する確率が非常に高くなることは間違いないようです。

日系アメリカ人を対象とした論文を紹介します。

sponsored link

OGTT中のインスリンパターンが将来の2型糖尿病を予測する?

OGTTとは世界中で最も一般的に用いられている経口グルコース負荷試験のこと。

75gのグルコースを経口摂取し、2時間の血糖値が200mg/dL以上、空腹時血糖値が126mg/dL以上のとき糖尿病型と診断されます。

2時間後の血糖値が140mg/dL、空腹時血糖値が110mg/dLの場合は正常型で、正常型と糖尿病型の間に境界型と呼ばれる判定区分が存在します。

今回紹介する論文では、糖尿病でない34-76歳の日系アメリカ人400人が対象で全員にOGTTを受けてもらいました。

その後、血糖値と追加インスリン分泌のパターンを5つに分類し、それぞれのパターンに属した人達の11年後の2型糖尿病の発症率を調べました。

インスリンと血糖値のパターンは以下のように分類されました。

上がグルコース摂取後2時間のインスリンの分泌パターンで、下が血糖値のパターンを示しています。

パターン1:30分後にインスリンのピークがきて、120分後よりも60分後の方が高い。
パターン2:30分後にインスリンのピークがきて、120分後と60分後がほとんど同じ。
パターン3:60分後にインスリンのピークがくる。
パターン4:120分後にインスリンのピークがきて、30分後よりも60分後の方が高い。
パターン5:120分後にインスリンのピークがきて、30分後が60分後と同じかまたは低い。
血糖値だけで見るとほとんどのパターンが正常型と判定されてしまいますが、2時間の挙動を見るとかなり個人差が生じていることが分かります。

11年後の結果

11年後、400人の被験者のうち糖尿病を発症したのは86人。

そのうち、パターン1から発症した人は63人中2人、パターン2から発症した人は41人中4人、パターン3から発症した人は182人中28人、パターン4から発症した人は90人中43人、パターン5から発症した人は24人中9人でした。

これらの結果から、パターン1とパターン2に属した人達のオッズ比を1として他のグループのオッズ比を調べてみると、パターン3の人たちは2.73(1.05-7.01)、パターン4の人たちは12.55(4.79-32.89)、パターン5の人たちは8.39(2.38-29.79)となったとのこと。

グラフにすると以下のとおり。

その後、研究者らは年齢、性別、糖尿病の家族歴、BMIなどのパラメータを調整してみましたが、それでもやはりパターン4とパターン5に属した人達の糖尿病の発症可能性は他のパターンよりも高くなることが明らかになりました。

研究者らはこの結果の原因について詳しい調査は行っていませんが、パターン3に属していた人たちでは、パターン1,2の人たちよりもβ細胞の減少を示していたこと、パターン4に属した人達ではβ細胞の機能低下とインスリン感受性の悪化と関連していたこと、パターン5に属した人達ではβ細胞の機能は十分でありながらもパターン4の人たちよりも悪化したインスリン感受性であったことを明らかにしています。

一般的にはOGTTでは、血糖値のみで判定されインスリンの挙動は考慮されませんが、インスリンの分泌パターンこそが、つまりインスリンの追加分泌が遅い人ほど将来の糖尿病の発症に強く関連しているということが示唆されています。

また、この研究での対象者はすべて日本人に先祖を持つ日系アメリカ人であり、私達日本人と共通の人種からの結果であることも非常に興味深いところ。

まとめ

OGTTにおいて追加インスリンが遅い(60分以降にピークを迎える)人は将来二型糖尿病が発症しやすい

ところで、血糖値を測定する機械はたくさん販売されていて、一般人でもいつでも入手することができますが、インスリンの測定器となるとそうはいきません。

そこで役に立つのが以前もこちらの記事で紹介した納先生のサイトです。

こちらの記事には26人の健常者を対象にOGTTの血糖値とインスリンパターンがまとめられています。

自分の血糖値パターンと似た人を探し出して、その人のインスリンパターンから自分のインスリンパターンがどういう傾向を示しているのかおおよそ把握することができます。

ちなみにこの26人の中でパターン3,4,5に分類されるのは、No2,3,4、9、10、11、13、16、17、18、19、20、21のパターンです。ただこの中には境界型の方も含まれているので少し条件が異なるかもしれません。

また、言うまでもありませんが、糖質制限をしているとOGTTでのインスリンの分泌は非常に遅くなります(いわゆる生理的インスリン抵抗性により脳へのグルコースの供給を優先するため)。

それが糖尿病発症に関連するかどうかは分かりませんが、敢えてリスクに突っ込んでいくよりは耐糖能を高める方が良いのではないでしょうかね。

以上参考までに。

sponsored link

Reference

http://care.diabetesjournals.org/content/diacare/36/5/1229.full.pdf

疾患・症状カテゴリの最新記事