断食にまつわる10個の迷信

間欠的ファスティング(断続的断食)には健康上の多くのメリットがあります。

 

しかし同時に多くの迷信も存在しており、それによって食事指導の専門家でさえ誤った判断をしてしまうことがあります。

ファスティング(断食)にまつわる迷信とその裏付けについて調べてみます。

 

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1.朝食を抜くと太る?

朝食を抜くと太りやすくなるとはよく聞く話ですが、実はこれには根拠ありません。

確かに朝食抜きと肥満を関連付ける研究はありますが、普段朝食を抜くような生活をしている人は、健康に関して意識が低いために肥満になりやすいからであると考えられています。

また、朝食を抜くとその後の食事で血糖値が上昇しやすくなるという報告もありますが、これはその通りで、朝食をスキップした後に昼食で炭水化物をガッツリ摂れば血糖値は急激に上昇しやすくなります。昼食の内容次第です。

2014年に行われた、BMIが25-40の肥満の成人を対象とした実験では、朝食を摂るグループと摂らないグループに分けて16週間後の体重変化を比較しました(1)。

その結果、二つのグループの間に体重の差はありませんでした。この結果は、朝食を食べる食べないかに関わらず、減量には何も効果がないことを示しています。

しかし一方で成長期の子ども達においては、朝食を食べる子どもの方が成績が良く、栄養状態も良くなることが報告されています(2)。

私たちはいつの間にか朝食が何か特別なものというイメージを植え付けられてしまい、朝は食べなければならないと考えがちです。

しかし実際にはお腹が空いているなら食べればいいし、お腹が空いていなければ食べなければいいだけの話であり、そのどちらの選択も肥満にも減量にもつながるわけではないということです。

 

2.食事回数を増やすと代謝が高まる?

たくさんの量を食べるより、食事の回数を増やして少しずつ食べる方が代謝率が上昇するという話も信じられていますが、これもまた迷信です。

確かに食事をすると、そのうち何割かはエネルギーとして体は消費します。

これは熱産生(TEF:Thermic Effect of Food)と呼ばれるもので、タンパク質の20-30%、炭水化物の5-10%、脂肪の3%がこれに消費されることが知られています(3)。食事誘導性体熱産生(DIT:Diet Induced Thermogenesis)と同義です。

しかし食事回数を増やすことによって、実際に24時間のエネルギー消費が増えるという証拠はないと報告されています(4)。

 

3.食事回数を増やすと空腹感が無くなる?

とにかく食べ続けてれば空腹感が消えると考える人もいるようですが、実際にそういう研究結果もあるのであながち間違いとは言えないのかもしれません(5)。

しかし、そういう研究結果がある一方で、食事の回数と空腹感にはなんの相関もない、むしろ空腹感を強くするという研究結果もあります(6789)。

高たんぱく食を三食摂る場合と六食摂る場合では、三食の方が空腹感が少なることを示した論文もあります(10)。

空腹感は主に空腹ホルモンと呼ばれるグレリンによってもたらされるものであり、私たちが食べれば食べるほど時間を記憶し分泌を強くする傾向があります。

これらを抑制するには、食べないこと、すなわちファスティングが有効であることが分かっています。

 

4.食事回数を増やすとダイエットに効果がある?

食事回数を増やしても代謝は増えないし、空腹感は満たされないし、なのに食事回数を増やすと体重が減るという迷信が広まっているのはもはや不思議でもあります。

実際にほとんどの研究結果において、食事回数を増やすことは体重減少に全く役に立たないことが分かっています(1112)。

ある16人の肥満男性および女性を対象とした調査では、1日3-6回の食事をした場合、いずれの場合も体重、体脂肪、食欲に差は見られなかったと報告しています(13)。

 

5.脳はグルコース以外は利用できない?

脳はグルコースだけしか利用できないため、炭水化物を食べないと脳が機能しなくなるという定説がいまだに信じられています。

実際は、脳は脂肪酸から作られるケトン体も利用することができるため、必ずしも炭水化物を摂らないと脳が機能しないわけではありません。また、糖新生という肝臓からグルコースが作られるプロセスによって、必要量のグルコースを産生するシステムが体には備わっています。

これに加え絶食中にはケトン体の産生が増加し、脳と体に必要なエネルギーを送り込みます(14)。

人類の歴史を振り返れば、人類は必ずしも炭水化物を摂らないと生きていけない生き物ではないことが分かります。しかし、低血糖を感じる場合や糖新生が苦手な場合には、ある程度の炭水化物を摂取した方がよい場合もあります。

 

6.ファスティングは飢餓モードになる?

飢餓モードとは、代謝を弱わめ体温を下げ、いわゆる冬眠モードに入ることを指します。

ファスティングに関する迷信の一つは、ファスティングをすると飢餓モードに入ってしまい、LowT3症候群低血糖などの症状になるというものです。

しかし、実際はファスティング中にはカテコールアミン成長ホルモンなど、代謝を刺激するホルモンが増加し、48時間のファスティングでは3.6%から14%にまで代謝が上昇することが示されています(1516)。

ファスティングは代謝が弱まるどころか、むしろ代謝が高まります。

一方、副腎疲労があってこれらのホルモンがうまく分泌されない場合や、肝機能に障害がある場合には低血糖の症状を呈する場合もあるので、その場合は中止する必要があります。

 

7.タンパク質は一食あたり30gしか代謝できない?

タンパク質は一食当たり30gしか消化できないので、特にボディビルディングやボディメイクの世界では、一日に何度もタンパク質を摂取することが推奨されています。

一日の推奨量を摂取しようとしたら、とてもファスティングなどしてる時間はありません。

しかしこれらは科学的に裏付けられたものではありません(17)。

タンパク質を一度にたくさん食べても、分けて食べても代謝は変わらないとするデータもありますし、高齢者においては一度にたくさん食べる方が代謝率が高まるというデータもあります。

また最近では、一度の食事で消費できるタンパク質量には上限がないとする見解もあります(18)。

いずれにせよ、人の体は30g以上のタンパク質も消化することができるため、数時間おきにタンパク質を摂取しなければならないという根拠はありません

 

8. ファスティング中は筋肉が失われる?

ファスティング中は異化が亢進し、筋肉が消費されていくと信じている人もいます。

しかし、実際はファスティング中に分泌されるカテコールアミンや成長ホルモンにより、筋肉タンパク質の分解は抑制されます。

ある研究では、これまでと同じカロリーの食事で一日に一食にしたところ、体脂肪の減少とわずかな筋肉量の増加を示したと報告しています(19)。

最近では、ボディービルダーの間でも間欠的ファスティングを取り入れたリーンゲインズと呼ばれる方法も流行しており、増量期/減量期の区分を設けず低い体脂肪率を保ったまま筋肉を増加させていくことに多くのボディービルダーが成功しています。

 

9. 間欠的ファスティングはとにかく健康に悪い?

とにかく食べないことは栄養不足にもなるし、エネルギー不足にもなるし、健康に悪い!

そう考えている人もいます。

しかし実際には、間欠的ファスティングには単にダイエットの効果だけでなく、健康維持や疾患予防、治療において大きなメリットがあることが分かっています。

ファスティング中に栄養不足になるという明確な根拠もありません。

ファスティングの世界記録は382日で、この間栄養不足に陥ることはなかったと報告されています。

 

10. ファスティングは過食を引き起こす?

間欠的ファスティングでダイエットに成功しても、その後の食事で過食してしまうので結果的にダイエットは成功しないと主張する人もいます。

これはある意味事実です。ファスティング終了後は一般的に食べすぎてしまう傾向があります。

しかし、この過食によりリバウンドしてしまうのは、満腹ホルモンレプチンがきちんと機能していないことが考えられます。

レプチンが機能していれば、ファスティング終了後であっても適切な満腹感を脳に知らせ、必要以上に摂取したエネルギーは代謝に回されます。

また、過食をしてしまうもう一つの原因は、ファスティング中に酵素ドリンクなどの甘い飲み物を飲んでしまうことです。

酵素ファスティングと呼ばれるファスティング法では、ファスティング中に酵素ドリンクを摂取し、最低限のエネルギーと栄養を確保しようとします。しかし、インスリンをリセットする目的のファスティング中にこのようなドリンクでインスリンを分泌させては意味がありません。

このようなファスティングでは体は単にカロリー制限とみなし(基礎代謝を下げる)、結果的に空腹感を助長します

間欠的ファスティングはこれらのファスティングとは明確に区別されます。

 

間欠的ファスティングに摂取してもよい飲み物はこちらを参照下さい。

 

まとめ

私たちがどこかで聞いたことのある定説は、実は科学的には全く根拠のないものがあります。

ファスティングは特にそのような定説で批判されがちですが、実際には多くのメリットがあります。

しかし冷静に考えれば、身体にとって一番大事なタンパク質を人の体がそんな簡単に失うわけはありませんし、少し食べなかったからと言って脳が全く働かなくなることもありませんし、肉は一度に30g以上食べられますし、食事回数を増やすほど痩せるなんて足し算が合いません。

無理のない範囲で適切にファスティングに取り組むことは、体にとって間違いなく多くのメリットを生み出します。

 

Reference

https://www.healthline.com/nutrition/11-myths-fasting-and-meal-frequency#section3