インスリン抵抗性と間欠的ファスティング – The Obesity Code(オベシティコード)

  • 2017.03.22
インスリン抵抗性と間欠的ファスティング – The Obesity Code(オベシティコード)

Obesity code 間欠的ファスティング

Jason Fung博士の『The Obesity Code』という本が話題になっています。

この本では、これまでのカロリー制限や運動療法、さらには栄養学、予防医学の無意味さについて様々な角度から徹底的に議論されており、現代人の乱れたホルモンバランスを正常に戻すことこそ、真の健康を取り戻すことであると説いています。

そこから導き出された結論は決して糖尿病や肥満症の人だけでなく、全ての人に適応される話だと感じます。

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そもそもインスリンは悪者なのか?

これまで糖質制限では血糖値を上げない食事が良いとされてきました。

高血糖の害、また高血糖に伴って分泌されるインスリンが機能性低血糖症を生み、本来必要でないホルモンの分泌を促進します。

さらにミトコンドリアでの情報伝達において活性酸素を産生することから、インスリンをできるだけ分泌させない食事が推奨されてきました。

その結果、糖質を多く含む食品や血糖値を上げやすい食材は避けられるようになってきました。

インスリンの基礎分泌は生きるために必要、でも追加分泌は不必要。

一方、ボディビルの世界においてはインスリンは筋肉の成長に必要な物という認識がありました。それはインスリンが持つ「タンパク質の同化促進」という機能です。身体に取り込まれたタンパク質はアミノ酸として吸収され、その後再び体内で必要なタンパク質に合成される際に、実はインスリンが役立っています。

インスリンの分泌を促すために、トレーニングの後はプロテインと共に糖質を摂取する。こうすることでプロテインの吸収効率が高まると考えられています。

インスリンの機能

ところでインスリンは実際にはどのような機能があるのでしょうか?

インスリンの機能を三大栄養素別に見ると以下のようになります。

  • 糖質代謝
    グルコースの細胞内への取り込み促進
    グリコーゲン合成の促進
    糖新生の抑制
  • タンパク質代謝
    タンパク質合成の促進(タンパク質異化の抑制)
  • 脂質代謝
    脂肪分解の抑制

このようにしてみると、インスリンは単に血糖値を下げるホルモンではなく、糖質・タンパク質・脂質の代謝を制御するホルモンと言えます。

インスリンが悪者になるのは過剰な糖代謝が行われたときのみであって、実際は様々な代謝に絡む重要なホルモンであるという認識に変える必要がありそうです。

タンパク質を食べても追加インスリンが分泌される?

The obesity codeの中で私達を最も悩ませたのは、タンパク質摂取においても追加インスリン分泌が起こるという事実です。

糖質制限の本に一般的に書かれていることは、血糖値を上げる食品のみが追加インスリン分泌を促し、それ以外の肉や魚などのタンパク質、脂肪などは追加分泌が起こらないということでした。(だから糖尿人でも生きていける!)

しかし、実際は全ての食品で分泌されます。これは様々な実験結果から明らかです(ただし日本人で行われたという実験はまだ確認できていません)。食品によっては糖質よりもタンパク質の方が追加分泌が多いものも存在します。唯一、純粋な脂肪酸のみ追加分泌は起こりません。

食品とインスリンの分泌量については、下記の食品インスリン指数の記事を参照ください。

タンパク質でも追加分泌が起こるのなら、私達は食事をどのように考え直せばよいでしょうか?

インスリンの出し方が重要

1970年代と2000年代のアメリカ人の一日の食事の回数(間食を含む)を比較すると、1970年代では平均3回であったのに対し2000年代では約6回にまで増えています。

そしてこの間に肥満率は2倍以上、2型糖尿病は4倍以上も増加しています。

このことは、アメリカ人に限らず日本人にも少なからず当てはまります。

日本人も間食を含めば昔よりも食事の回数は増えています。

例えば以前の私の休日を思い返すと、朝ごはんにご飯と味噌汁納豆を食べて、しばらくすると小腹が空いて冷蔵庫を覗き、果物があるのでそれをつまむ。お昼はパスタ。そして3時ごろには再びお腹が空いて今度はお菓子がなかったか戸棚を探り、それをつまむ。それでも夕食ごろにはきっちりお腹も空いて、しっかり食べる。10時ごろには再び小腹が空いて夫婦でラーメンを分け合う。

全ての食品で追加インスイリンが分泌されているとすると、この日は6回も分泌されることになります。追加分泌からインスリンが消えるまで2時間を要すると考えれば、ほぼ一日中インスリンが血管の中を駆け巡っていたことになります。

このように常にインスリンが分泌されるような状態が続くと、インスリン抵抗性が出現してきます。インスリン抵抗性が高まるとインスリンの効きが悪くなりインスリン分泌量が次第に増えてきます。

インスリン抵抗性が高まった状態では、体重の設定値も引き上げられ体重増加が亢進していきます。ちょうどエアコンの設定温度によって部屋の温度(体重)が決まるようにどんなに部屋を暖めようと長い時間が経てば元の設定温度に戻ってきます。

カロリー制限や運動、あるいは糖質制限をしても一向に肥満が解消しないのは、このインスリン抵抗性が設定体重を決めているからです。そして、インスリン抵抗性を改善させることが肥満や2型糖尿病患者への正しいアプローチであるというのがJason Fung博士の主張です。

インスリン抵抗性を改善するためには、間食をやめること、そして食事の回数を減らすこと、さらには間欠的に食事を飛ばす間欠的ファスティングが効果的であると述べています。

常にインスリンが出続けている状態から、インスリン分泌にメリハリをつけて人間本来のホルモンバランスを蘇らせようとする方法です。飽食の時代だからこそ意図的に食事を抜くことことが必要なのです。

インスリン抵抗性が改善されれば、満腹になるまで食べても太ることはなくなります。おかしな話に聞こえるかもしれませんが、これが動物として正常な状態なのです。野生動物では飽食になると個体数は増えますが、肥満が増えるわけではありません。つまり、食べて太る(太り続ける)というのは実は動物として異常な状態であると言えます。

間欠的ファスティング

これまで食事を見直していく際、「何を避けるべきか」→「何を(積極的に)食べるべきか」と考えてきましたが、これに「何時食べるべきか?」「いつ食べないか」という項目が加わることになります。

間欠的ファスティングの目的は、インスリンの分泌にメリハリをつけ、ホルモンを正常に戻してやることであり、体重減少(ダイエット)や内臓の休息が目的ではありません。そのため、ファスティングダイエットなどで使われていたような酵素ドリンクなど特定な食品も必要ありません。

間欠的(週3回程度)に食事を抜くだけです。間欠的とは連続して行わずに、一定の期間を置いて行うことです。例えば週三回で行う場合は、月、水、金など間隔を置いて行います。

ファスティング中は、水やコーヒー、ボーンブロスなどの飲み物を摂取します。間食は一切止めます。

16時間ファスティング 朝食のみを抜きます。
24時間ファスティング 朝食と昼食を抜きます。
36時間ファスティング 丸一日何も食べない日を作ります。

個人のライフスタイルに合わせて取り入れることができます。

間欠的ファスティングのやり方や効果の詳細についてはこちら

まとめ

糖質を摂取したときのみ追加分泌されるといわれていたインスリンはタンパク質を摂取したときにも分泌されることが明らかになりました。インスリンが継続的に分泌されるとインスリン抵抗性が出現し、これが肥満症や2型糖尿病を生み出すだけなく、様々なホルモンバランスを乱すことに繋がります。

これを改善させるには、間食や頻回による摂取をやめ、間欠的ファスティングを行うことが有効であり、本来のホルモンバランスを取り戻すことが可能になるというのがJason Fung博士の主張です。

備考

男性の場合は問題なく間欠的ファスティングを取り入れることができますが、女性の場合は飢餓感を感じただ空腹感のみが増大し、体調を崩す場合が多いので注意が必要です(脂質代謝に切り替わりにくい)。鉄やその他ミネラル、ビタミン不足、L-カルニチン不足が原因と考えられますが、間欠的ファスティングで不調を感じる場合は、仮想ファスティングがお勧めです(次の記事で書きます)。

また、The Obesity Codeに書かれている内容は、インスリン分泌量の少ないアジア人にどれくらい適応できるのかについてはまだ不明な部分も多いです。

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Reference

The Obesity Code (Jason Fung)

The Obesity Code: Unlocking the Secrets of Weight Loss

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The Complete Guide to Fasting (Jason Fung)

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